綿矢りさ no.100        

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舞台は大地震後のキャンパス…、綿矢りさ「大地のゲーム」。

大地のゲーム大地のゲーム
綿矢 りさ

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 綿矢りさはいったいどこに向かっているのだろう?このブログでも感
想を書いた「ひらいて」は、恋愛小説を超えた強く激しい魂の物語だっ
たが、この「大地のゲーム」は近未来の大学キャンパスを舞台にした小
説だ。しかも、震災後という設定である。

 その夏、未曾有の大地震に襲われたこの国は、一年以内にまた巨大な
地震が来ると政府が警告を出している。原発はすでになく、ネオンがき
らめく街を実際に知る人間などもういない。主人公の「私」は地震後も
大学構内で暮らしている。キャンパスには、帰れる家があるのに寝泊ま
りを続けている男女がなぜか大勢いるのだ。彼らは地震の恐怖に怯えな
がらも学園祭の準備を続けている。「世界の割れる音を聞いてしまった」
若者たちの日々はヘンにエネルギッシュだ。それは学生運動華やかざり
し頃を思い出させる。リンチ?で人が死に、カリスマ的「リーダー」の
元、半宇宙派なんていう名の集団ができ、狂気に似たパワーが充満して
いる。極限状態が続く中、作者はそういう力強さにこそ希望を見い出そ
うとしているようだ。

 「私」には「私の男」がいて、強く思う「リーダー」がいる。彼に愛
されている「マリ」に対する「私」の嫉妬…。本能的なものが何よりも
先行する世界…。強く強く「生」を感じるラストがとてもいい。(No.76)

◯綿矢りさのその他の本のレビューはこちらから。

◎「大地のゲーム」は2015年12月23日、新潮文庫から文庫になりました。
大地のゲーム (新潮文庫)
綿矢 りさ
4101266522

               ◯ ◯

2013.9.30 あ〜もう「あまちゃん」はないのか。脚本が森下佳子さん
なので「ごちそうさん」も期待したい。読書は小野不由美「丕緒の鳥」。


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その過激な疾走はどこに向かうのか?綿矢りさ「ひらいて」。

ひらいてひらいて
綿矢 りさ

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 これは間違いなくあの「蹴りたい背中」を書いた綿矢りさの小説であ
る。2つは確かにつながっている。一方でこれは本当にあの「蹴りたい
背中」の作者が書いた小説なのか?とも思う。なぜなら表現力、言葉の
力強さが芥川賞受賞のあの小説とは格段の差があるからだ。それにして
も「ひらいて」はすごい。そのすごさに圧倒された。

 この物語の主人公は木村愛という受験を控えた女子高生だ。活発でお
しゃれで級友たちの人気も高い彼女が、クラスの中であまり目立たない
「たとえ」という男の子を好きになる。それも強く激しく。驚くことに
彼女は深夜の教室に忍び込み、彼の机の中からラブレターを見つけ盗み
読みまでしてしまうのだ。手紙の相手は病弱な元同級生の美雪。愛は2
人の関係にショックを受けながらも、今度は美雪へと接近していく。こ
れもまた、強く激しく。

 これ以上、ストーリーは紹介しないが、美雪の存在を知ってからの愛
の変貌は恐ろしい。以前の彼女はまったく姿を消し、ただただたとえと
美雪へと突き進んでいく。それは恐ろしくもあるのだが、そんな愛の行
動をすんなりと受け入れ、しかも共感までしている自分がいて驚いた。
いいのか?この女を野放しにして???

 終盤、愛のこの過激な疾走がいったいどこに向かい、どこにたどり着
くのか、それさえわからなくなってくる。純愛カップル(に見える)た
とえと美雪、そして、彼らに激しく介入する愛。もつれにもつれ混沌の
中にいるこの3人の間にあるのは、もう愛でも恋でも憎しみでも嫉妬で
もない何か。すべてを超越した本能そのものだ。ひらくことでしか得る
ことができないひとつの思いだ。おののきながらも強く共感してしまう
魂の物語。綿矢の驚くべき表現力がこの物語を支えている。(No.213)

◎「ひらいて」は2015年1月28日、新潮文庫で文庫化されました。
ひらいて (新潮文庫)
綿矢 りさ
4101266514

               ◯ ◯

2012.9.19 総裁選とか代表選とか、はぁ、つまらん。宮部みゆき「ソ
ロモンの偽証」第一部を読んでるうちに第二部が出ちゃう!まずいぞ。

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そうかこれが19歳の芥川賞か、綿矢りさ「蹴りたい背中」。

2人の奇妙で微妙な関係、そのどんよりした感じがなんだかいい。

蹴りたい背中 (河出文庫)蹴りたい背中 (河出文庫)
綿矢 りさ

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 19歳で芥川賞を取った、綿矢りさの「蹴りたい背中」。なるほど、こ
ういう話なのかぁ。内容をまったく知らなかったので勝手に韓国映画の
「猟奇的な彼女」みたいな女の子が主人公かと思っていた。けっこう元
気がいい感じの。蹴りたい、というタイトルだけでそう思ってしまう単
純さ、困ったものだ。さて、主人公の「私」だが、あまり元気ではない。
クラスでは完全にのけ者状態。理科の実験ではグループに入れない。暴
力でいじめられてるわけではないが、なんだかみんな遠巻きにしている。
それは結局、本人が知らず知らずのうちにバリアを張っちゃっているか
らなのだが…。ちょっとひねくれ者の彼女は、そういう状況で寂しい思
いをしながらも周囲に対して、ふん!、なんて思っている。このあたり
の表現に自分を見たり、共感する読者は多いのではないだろうか。

 そして、もう一人、クラスの余計者になっている「にな川」という男
の子。オリチャンというモデルの熱狂的ファンである彼は、おたく的で
外見からしてさえない。この2人が互いの孤独をなめ合うように恋にで
も落ちれば「常道」なんだろうけど、そうはならない。そのかわりと言
ってはヘンだが「私」は「にな川」の背中を蹴りたいと思う。「この、
もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」と。2人の奇妙で微妙
な関係、そのどんよりした感じがとてもいい。こういう関係を非常にデ
リケートな言葉で表現する綿矢りさもなかなかだ。この小説、けっこう
好きだな。(No.89)

               ◯ ◯

2010.9.18 「小さいおうち」を読み終えて絲山秋子の「ダーティ・ワ
ーク」を文庫で読書中。絲山さんの新作「妻の超然」早く読みたいぞ。

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