吉田修一 no.115        

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【書評】吉田修一「橋を渡る」

◇今日のあなたのその選択が、未来を変えるかもしれない…。
橋を渡る橋を渡る
吉田 修一

文藝春秋 2016-03-19
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 吉田修一は「悪人」と「さよなら渓谷」しか読んだことがない。どち
らもリアルな「愛」の物語だ。だからこの小説にはぶっ飛んだ。そうか、
吉田修一ってこういう小説も書くのだな。それにしても、これはスゴい
物語である。

 春、夏、秋、冬の4部構成。春夏秋はそれぞれ主人公が違う。ビール
会社に勤める明良、彼の家には謎の贈り物が届く。都議会議員の妻篤子、
彼女は夫が議会でヘンなヤジを飛ばしたのではないかと疑っている。テ
レビ局のディレクター謙一郎は婚約者の行動に不審を抱く。2014年に
生きる3人。ワールドカップ、都議会のヤジ事件、香港の雨傘革命など
リアルなニュースを取り込みながら物語は冬の部へとなだれこむ。

 冬の部はなんと70年後の未来。響という青年、凛という女性、「サ
イン」と呼ばれる彼らの正体は…?混乱しながら読む進むと、前3部の
孫にあたる人間などが出て来て少しずつ物語の全容と作者の思いが見え
てくる。

 今、現在、起こっている社会的な出来事、一人ひとりの日常に起こる
些細な出来事やそこでの選択、そのひとつひとつが明日につながってい
て「未来」を形作っていく。当たり前のようだけれどそれを自覚してい
る人間は少ない。作者はその「つながり」を彼なりの方法で描いている。
70年後の未来を生きる響と凛、70年前から未来にやってきたある男、
彼らの人生が交錯する最終章に強く心を打たれる。(No.359)

◯吉田修一の他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページが出ます。 

            ◯ ◯

2016.5.18 若冲展、今日はシルバー無料デイで11時ぐらいに320分待
ち、現在でも170分待ち。やれやれ。会期末も近くこれからどうなるの
だろう?読書は原田マハ「暗幕のゲルニカ」。

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【書評】吉田修一「さよなら渓谷」

◇その過去があったからこそ、2人は互いを必要とした。
さよなら渓谷 (新潮文庫)さよなら渓谷 (新潮文庫)
吉田 修一

新潮社 2010-11
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 これはすごい小説だ。しかし、紹介するのが難しい。これから読む人の
ことを考えると一番核心の部分に触れるべきかどうか非常に迷う。でも、
映画の予告編ではこのことに触れていたしなぁ。新刊ならば、たぶん書か
ないのだけど、ここでは「それ」をあえて書くことにする。

 この小説、書き出しが巧い。桂川渓谷という緑豊かな土地で起こった幼
児殺人事件。実の母である里美に疑いがかかる。その静かな町にレポータ
ーたちが押し寄せる。しかし、この物語の主人公は彼女ではない。隣家の
夫婦、尾崎俊介とかなこ、「さよなら渓谷」はこの2人の物語だ。

 2人の間には、数十年前、ある事件があった。その事件を経て、彼らは
今、共に暮らしている。幼児殺人を取材に来ていた山崎という男が、偶然
にも「そのこと」に気がつき、すべてを知ることになる。この山崎という
男の存在もこの物語ではとても大きい。

 2人は共に、忘れることのできない過去を背負って生きてきた。かなこ
は誰からも許されない。俊介はまわりの男たちから簡単に許された。許さ
れたい女と許されないことを望む男、だからこそ、というか、だから、彼
らは互いを必要としたのだ。その悲しさ、その絶望!これを究極の愛など
とは言えない。ただただ、この物語を書いた吉田修一をすごいと思うばか
りだ。まさに、作者渾身の一冊。深い余韻を残すラストに心を打たれた。
(No.283)

◯吉田修一のその他の本のレビューはこちらから。 

            ◯ ◯

2014.4.30 今日、東京は雨。あ、4月ももう終わりだ。読書は朝井リョ
ウの「スペードの3」がもうすぐ終わりそう。次は村上春樹の新作、かな。

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何よりも2人の愛の強さに惹かれる!吉田修一の「悪人」。






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 映画も好評の「悪人」を読む。とにかく、これ、読後感が圧倒的!究
極のラブストーリーと呼びたい傑作小説だ。祐一と光代は携帯の出会い
系サイトを通じて出会った。遊びではなく、彼らは互いに自分を必要と
する異性を強く強く求めていたのだ。そして、激しく惹かれ合った。彼
らが出会うのは実は第三章、すでに3分の1を過ぎてからだ。第一章で
語られるのは、福岡と佐賀の県境で起こった女性の殺人事件について。
被害者石橋佳乃のこと、その両親のこと、容疑者の男たちのこと。祐一
は佳乃とも出会い系を通じて知り合い、殺人が起こった夜、彼女と会っ
ている。第二章では祐一のこと、その生い立ち、彼を育てた祖母のこと
などが語られる。そう、祐一と光代は「事件」のあとで出会うのだ。
の出会い以降、物語はグンと熱を帯びてくる
。付き合い始めて、彼らが
周囲に見せる「幸せそうな顔」、その描写が心に残る。そして祐一は光
代に事件の真相を語る…。「俺、もっと早う光代に会っとればよかった」
「ここで祐一と別れたら、私にはもう何もないたい」、どうにも離れら
れない2人の逃避行が始まる。

 確かにこの愛は刹那的なのかもしれない。それでも、2人は激しく求
め合っている。この愛の強さに僕は何よりも惹かれる
。「今の世の中、
大切な人もおらん人間が多すぎったい」と娘を殺された父親はつぶやく、
「これまで必死に生きてきたとぞ」と祐一の祖母は叫ぶ。話の終盤で2
人の老人が吐き出すこれらの言葉はこの物語を俯瞰するような強い思い
が込められている


 少し古めかしいようなスタイルと全編九州弁で語られる言葉が物語を
際立たせる。タイトルを「悪人」としたことで、誰もが悪人であるとい
うような意図を作者が持っているようにも思うが、その点は自分はまっ
たく感応しない。ただただこの愛の姿に心を打たれるのだ。(No.117)

               ◯ ◯

2010.12.7 今、読んでるのは朝井リョウの「チア男子!!」、前半はち
ょっとイライラ。次はジェフリー・ディーヴァーの「ロードサイド・ク
ロス」の予定。あ、8時から海老蔵の会見だって。

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