奥泉光 no.124        

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衝撃のラストは成功したのか?奥泉光「シューマンの指」。

シューマンの指 (100周年書き下ろし)シューマンの指 (100周年書き下ろし)
奥泉 光

講談社 2010-07-23
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 最初に一通の手紙とひとつの噂と共に、ある謎が読者に提示される。
高校時代に指を失った早熟の天才ピアニストが海外でコンサートを開い
ていたというのだ。彼の名は永嶺修人。わずか12歳で国際コンクールで
優勝し将来を嘱望された若者だ。この物語は、高校時代に彼と知り合い、
友人となった里橋優の手記という形で書かれている。前半は音楽論、シ
ューマン論、シューマンの楽曲の解釈などを織り交ぜながら、里崎自身
の音楽との関わり、永瀬との交流などが描かれる。クラシックファンと
は言えない僕にとって前半はけっして読みやすくはないのだが、その抑
制された語り口は悪くなく、読む進めることができた。もちろんそれは
「提示された謎」の解決への期待があればこそである。

 ところが、後半、ひとつの殺人事件が起こるのだが、そこから前半の
トーンは消え失せ、非常に下世話?な物語になってしまう。さらに、犯
人探し、不幸な事故へと物語は続いていくのだが、最初の謎はそのまま
だ。そして、最後の最後に訪れる大ドンデン返し。あぁ、そういうこと
なのか…。そういう目でみればいろいろな記述は納得できる。しかし…。

 テーブルクロス引き、というのがあるが、このラストをそれに例える
なら[テーブルクロスは見事に引き抜かれたけど、その前にグラスやビン
はすでに倒れてしまっている]のだ。このラストを読んでも、何というか
興ざめな感じがするばかりだ。作者がこの本を通じてやりたかったのは
シューマン論なのか、それともラストへ向けての驚くべき物語なのか。
前者のことはよくわからないが、後者はどう考えても成功したとはいい
がたい。(No.144)
               ◯ ◯

2011.4.11 あれから、1カ月。そんな時にこんなに余震が続かなくて
もいいじゃないか。本当に腹が立つ。現地の皆さんは、もっと絶望的な
気分になってるのでは…。もう本当にいいかげんにしてくださいよ。

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