佐野眞一 no.132        

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「津波と原発」、福島のチベットはいかにして原発銀座になったか。

津波と原発津波と原発
佐野 眞一

講談社 2011-06-17
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 人によっては思ってる内容と違ってもの足りなく感じるかもしれない。
それは、完全書き下しではなく、二部構成の一部は雑誌「G2」、二部
の第一章は「週刊現代」に掲載されたものが元になっているからだろう。
全体的にもう少し突っ込んで書かれていたらなぁ、東電という企業の闇
にももっとグイグイと迫ったらなぁ、と僕自身も思った。しかし、この
本、つまらないのかと言えばそんなことはまったくない。「津波と原発」
には硬派ジャーナリストである佐野眞一らしさが横溢している。

 第一部の「日本人と大津波」は震災一週間後に現地を訪れたルポであ
る。ここに登場するのは気仙沼に住む新宿ゴールデン街でおかまバーを
やっていた「キン子」ママ、元共産党の文化部長、「定置網の帝王」と
呼ばれるプロ中のプロの漁師などなど。彼らの話がいちいちおもしろく、
しかも、心にグッと迫る。このあたりのアプローチはさすが佐野だ。こ
ういう話は新聞では絶対に読めないだろう。第二部「原発街道を往く」
ではさらに、当日福島第一原発で働いていたいわゆる「原発ジプシー」
の男や浪江の大規模牧場の主なども登場する。第二章以降で語られるの
は「福島のチベット」と言われた浜通りが原発銀座へと様変わりしてい
く、そのプロセスだ。こここそがこの本の要である。登場するのは正力
松太郎、堤康次郎、木村守江などの権力の亡者たち。読んでいると「こ
いつらって本当にもう」とあきれると同時に、原発誘致しか術がなかっ
た現地の荒廃と貧しさに暗然とする。その時、反対運動はほとんどなか
ったと言う。「あとがきにかえて」という形でそのエッセンスを伝えて
いる、政治学者原武史とジャーナリスト森達也との対談、孫正義へのイ
ンタビューも大変興味深い。(No.173)
               ◯ ◯

2011.9.20 またまた台風がやって来る。名古屋が大変だ。福島の原発
の台風対策は?気になる。読書はいがらしみきおのコミック「I(あい)」
こ、これはスゴい。

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