柴崎友香 no.133        

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緻密な風景描写に驚かされる柴崎友香「寝ても覚めても」。

寝ても覚めても寝ても覚めても
柴崎 友香

河出書房新社 2010-09-17
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 この小説には驚いた。と同時にこれを初めて読む柴崎作品に選んだこ
とを後悔した。このスタイルがこれまでもそうだったのか、それともこ
の作品独自のものなのかが良くわからないからだ。こんな感じでずっと
書いてきた作家なのだろうか?昨年、かなり話題になっていたのであま
り考えずに買ったのだけど…。

 まずスゴいのは風景描写の緻密さだ。柴崎友香はありとあらゆる手を
使って(というのもヘンな言い方だが)描きたい風景を言葉にしようと
している。それは見事に成功していてリアルな風景が目の前にクッキリ
と浮かびあがってくる。文章と文章の間に挿入される短い一文も効果的
だ。それは、まるでシャッターを押すように風景を切り取っていく。主
人公が写真が好きということもあるだろうが、このこだわり!柴崎友香
は視線の作家なのだろうか。この物語、最初は大阪が舞台である。こう
いう緻密な描写と大阪弁の会話が同居してるのがなんともおかしい。両
者のトーンがあきらかに違うのだ。「う~ん、変わってる」と読み進め
ているうちに思った。

 さて、物語だが、これは朝子という女性の22歳から31歳までの「10
年の恋」の話だ。彼女は大阪で麦という男に恋をする。しかし、彼が失
踪し関係は途切れる。その後、東京に出てきた朝子は麦とそっくりな亮
介という青年と出会い、また恋に落ちる。大阪の麦と東京の亮介。見た
目がそっくりというのもまた、ヴィジュアルの話である。柴崎はこうい
うこだわりの中で物語を紡いでゆく。亮介との出会いから話は深度を増
し、不思議さも増してくる。物語の終盤近くでの花見のシーンがなんと
も印象的。ここは本当にいいなぁ。そして、ラストに向かって意外な展
開が僕らを待ち受けている。(No.174)

               ◯ ◯

2011.10.1 ありゃ~10月になっちゃった。読書は「yom yom」の窪
美澄作品を読んでから、小林信彦「流される」へ。

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