北村薫 no.135        

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【書評】北村薫「中野のお父さん」

◇ちょっと軽めの謎解きが楽しい安楽椅子探偵もの。

 円紫さんシリーズ、ベッキーさんシリーズなどの推理作家北村薫の新
しい名探偵シリーズ。探偵になるのは定年間近の高校の国語の先生、主
人公である出版社の編集者田川美希の父親だ。娘が会社で起こった出来
事や仄聞した事件、謎などを実家に持ち帰り話すと、博識の父親が見事
に解決しちゃうといういわゆるアームチェア・ディテクティブ(安楽椅
子探偵)ものだ。

 全8編が収録されていてひとつひとつはそれほど長くはない。個人的
には、新人賞候補になった小説の作者に美希が電話すると「投稿したの
は、一昨年」と言われる冒頭の作品「夢の風車」と雑誌に載った「宝く
じおばさん」の家に泥棒が入り空くじと知っていながら奪っていくとい
うラストの一編「数の魔術」が好き。どちらも謎が軽めの短編だ。これ
ぐらい軽いので全編まとめるのもいいと思うのだけれど…。

 北村薫という作家は大変な博識だと思う。特に文学についての知識は
素晴らしい。しかし、やや知の部分が勝ちすぎていてそれが鼻についち
ゃう作品も時々ある。いやいやそれがいいのよ、という人も文学好きに
は多いかもしれない。この本でいうなら宝井其角や幸田露伴、落語や歌
舞伎へと話が広がっていく「闇の吉原」はそういう一編だろう。なんだ
かんだといいながら僕もそういうのも楽しく読むのだけれど、同時にち
ょっとなぁ、と思ったりもするのだ。さて、皆さんはどうですか?
(No.363)

◯北村薫のその他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページが出ます。 

            ◯ ◯

2016.6.15 舛添氏、辞職するらしい。ちゃんと百条委員会開いて真相
究明を図って欲しい。読書は盛田隆二「父よ、ロング・グッドバイ」。

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【書評】北村薫「太宰治の辞書」

◇シリーズのおもしろさを再確認できる17年ぶりの新作。
太宰治の辞書太宰治の辞書
北村 薫

新潮社 2015-03-31
売り上げランキング : 1968

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by G-Tools

 いわゆる《私》シリーズ(円紫さんシリーズともいう)の最新作。実
に17年ぶりの新作だ。一作目で大学生だった《私》はすでに結婚し、
小さな出版社の編集者になっている。なんと中学生の息子までいる。こ
れだけで今昔の感がある。このシリーズ今までは東京創元社から出てい
たのだが、今回からは新潮社。《私》が新潮社に向かうところから物語
が始まるのがいかにも北村薫らしい。

 3つの物語が収められていて、各々がゆるやかにつながっている。読
み始めるとこのシリーズ独特の語り口を思い出してとても懐かしい。最
初の「花火」は芥川龍之介の「舞踏会」とその元になったピエール・ロ
チの本の話。これはちょっと知が勝ちすぎている感じがした。特に後半
は論評みたいになってるのがなじめない。次の「女生徒」はいうまでも
なく太宰の小説がテーマ。懐かしい友人の正ちゃんは国語の先生になっ
て登場する。小説に出てくる「ロココ料理」の話から「女生徒」の題材
となった「有明淑の日記」への考察。その対比から太宰論へと進み一気
におもしろくなってくる。

 そして、表題作。3作の中ではなんといってもこれが一番だ。ここで
ようやく落語家の円紫さんが登場。前の2つの話を報告するというカタ
チで物語が進み、有名な「生れて、すみません」のこと、太宰が使って
いた辞書の話へと広がっていく。このあたりの巧みなこと。少しミステ
リーがかった展開と知的好奇心をくすぐる内容。これこそこのシリーズ
の真骨頂だ。読み進めるうちに《私》シリーズのおもしろさを再確認で
きた。やっぱりいいよなぁ、これ。未読の人は「空飛ぶ馬」からぜひど
うぞ!(No.327)

◯北村薫のその他の本の書評はこちらから。
※一番上にはこのページがでます。 

◯《私》シリーズ創元推理文庫版既刊5冊はこちらから。
空飛ぶ馬
北村 薫
4488413013
夜の蝉
北村 薫
4488413021
秋の花
北村 薫
448841303X
六の宮の姫君
北村 薫
4488413048
朝霧
北村 薫
4488413056

            ◯ ◯

2015.5.31 やっぱり日本は火山列島で地震列島だ。これから本当にな
にが起こるかわからない。そんな国に原発なんているのか。読書は澤田
瞳子「若冲」。

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この大団円のためにすべてがある。北村薫の傑作「鷺と雪」。

鷺と雪 (文春文庫)鷺と雪 (文春文庫)
北村 薫

文藝春秋 2011-10-07
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 北村薫が直木賞を取ったこの「鷺と雪」はいわゆる「ベッキーさんシ
リーズ」の第3作で最終章だ。僕は1、2作目を文庫で読んでいたのだ
が、その受賞が不思議だった。いや、このシリーズはすごくおもしろい。
しかし、3作目で何で?という気がする。まぁ、北村さんは直木賞ぐら
いとっくの昔にもらっていい作家なのだが。さて、問題の「鷺と雪」、
文庫になったので早速読んだ。なぁ~~るほど!納得。これは直木賞だ
わ。「鷺と雪」の大団円から1、2作目を振り返ってみれば、このシリ
ーズが昭和初期の上流家庭を舞台にし、主人公が良家のお嬢様という設
定の訳がよくわかる。このラストのためにすべてはあったのだ。ううむ、
北村薫、やっぱりこの人はスゴい!!!

 こういう人びとの話、伯爵だとか男爵だとかが出て来る話に拒絶反応
を示す人もいるだろう。僕もそれがなかったわけではない。とはいえ、
物語はおもしろく、男まさりで正体不明の女性運転手ベッキーさんの魅
力と彼女の謎解きの見事さで決してあきることはなかった。2作目では
彼女の正体も明らかになる。そして、この3作目。3つの話が収められ
ているのだが、1話2話ともベッキーさんはそれほど活躍はしない。た
だ、不穏な空気が強く漂い始める。そして、ラストの3話目。たわいの
ない写真のいたずらの話、と思いきや、最後の最後で見事な切り返しを
見せる。ベッキーさんと軍人である勝久との魂と魂の会話、ベッキーか
ら令嬢英子へのメッセージ、そして、奇跡の電話(これについては解説
をぜひ読んでください)、最後の一行にたどり着くまでの展開が本当に
本当に素晴らしい。これはぜひ、1作目の「街の灯」からじっくりと読
んでもらいたい。この圧倒的なラストに向けて。(No.178)





街の灯 (文春文庫)
北村 薫
4167586045
玻璃の天 (文春文庫)
北村 薫
4167586053

               ◯ ◯

2011.10.23 競馬、オルフェーヴルの菊花賞は本当に強かった。史上
7頭目の三冠馬。読書は後回しにした絲山秋子「不愉快な本の続編」へ。

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