角田光代 no.14        

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【書評】角田光代「坂の途中の家」

◇被告と補充裁判員、読者をも巻き込む魂の混沌…。
坂の途中の家坂の途中の家
角田光代

朝日新聞出版 2016-01-07
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 早々ではあるけれど、間違いなくこれは今年のベスト候補だ。1人の
母親が8ヵ月になる長女を浴槽に落として、赤ちゃんが死んだ。故意な
のか事故なのか。この事件はマスコミでも報道され話題になっていた。
主人公の主婦里沙子は、この事件の補充裁判員になる。この小説は裁判
が始まって終わるまでの10日間の物語である。

 両親とうまくいってないことや一人娘の母親であることなど、被告人
の水穂と里沙子は境遇が似ていた。裁判が始まる。そこでは事件のこと
だけではなく、娘や夫との関係、さらには義母や実母との関係など事件
に到るまでの背景も当然のことだが語られる。法廷でそれを聞いている
里沙子はしだいに自分の「昔」や「今」に思いを馳せることになる。そ
していつの間にか、水穂に自分自身を投影していることに驚くのだ。自
分と娘との関係、夫や義母との関係。なぜかちくはぐで少しも思いが伝
わらない母と子、妻と夫。彼女は裁判員として参加していることでしだ
いしだいに追い詰めれられていく。それが水穂のことなのか自分のこと
だったのかさえも分からなくなってしまう。

 角田光代がすごいのは、読者をもこの混沌に巻き込んでしまうことだ。
これは水穂の話だったのか里沙子のことだったのか、読んでいて一瞬迷
ったり、自分自身の子育てや夫婦の関係などにも思いが強く及んでしま
うのだ。僕は男だからまだいいのかもしれない。子育て中の女性が読ん
だならこの感情移入は半端ではないだろう。恐ろしい…。さらに恐ろし
いのはすべての関係がそして裁判というものが言葉を通して成り立って
いるという恐ろしさを突きつけられることだ。ラスト、里沙子は夢から
覚めたように現実に戻る。しかし、その現実の中ではまた…。
(No.350)

◯角田光代のその他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページが出ます。
◯補充裁判員の説明はこちらで。 

            ◯ ◯

2016.2.15 花粉、寒暖差、乾燥、強風が春先の4Kだってテレビで言
ってた。なるほど。昨日からの寒暖差すごい!読書は村田沙耶香「消滅
世界」。これもまたまた大変な一冊。

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【書評】角田光代「笹の舟で海をわたる」

◇疎開派世代の魂の在りようを描き、強く心を揺さぶる傑作。
笹の舟で海をわたる笹の舟で海をわたる
角田 光代

毎日新聞社 2014-09-12
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 「本の雑誌」昨年度ベストテンのNo.1。あの「本の雑誌」が角田光
代のようなビッグネームを1位にしたこと、大絶賛であったことに驚い
て読んでみた。ま、最近の小説は全部読んでるけど。それにしてもこれ
は…。角田光代、恐ろしい。50歳前なのによくこんなテーマで書ける
ものだ。ま、それが小説家というものなのだろうけれど。

 主人公は昭和8年生まれの春日左織という女性。この小説には戦争中
に疎開を経験し、終戦時は小6だった彼女の67歳までの人生が描かれ
ている。初めは一人の女性の一生という感じで読んでいたのだが、読み
進めていくうちにそれだけではない、ということに気づいた。これは僕
の親の年代にも近い、疎開派世代の女性たちの魂の在りようを描いた物
語なのだ。そこには普遍性があり、心にグッと迫ってくるものがある。

 左織は自らの運命に抗うことなく生きてきた。その生き方は自分の考
えなどまるでないようにさえ思える。角田光代は疎開先で一緒だった風
美子という女性を登場させることで、左織との対比を鮮やかに描きだし
ている。料理研究家で自分の思い通りに生きている風美子には、戦後の
新しい風が吹いている。彼女はそのうち義理の妹になるのだが、左織は
風美子に対して畏怖のような感情を抱き続け、家族を取られてしまうの
ではないかとさえ思ってしまう。

 後半、時代が動いていく。不仲の娘はニューヨークに去り、夫は病に
倒れる。昭和から平成へと年号が変わり、バブルの時代も見事にはじけ
る。そんな中で左織はただただ呆然と生きているように見える。なぜか
その姿に僕は強く共感を覚えた。こういう女性たちが確かにいた、とい
う思い。そんな左織が下す最後の決断に心が少しだけ軽くなった。角田
光代、これは必読の傑作小説!(No.317)

◯角田光代のその他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページがでます。

            ◯ ◯

2015.2.15 なんだかいろいろと停滞している気分。寒いしなあ…。
読書は岩崎俊一「幸福を見つめるコピー」。

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【書評】角田光代「平凡」

◇ここには人生に対する肯定があり、希望がある。
平凡平凡
角田 光代

新潮社 2014-05-30
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 6つの物語が収められた短篇集。これはきっと、今年のマイ・ベスト
に入るのではないか。人生の岐路を描いた物語はたくさんあるが、ここ
で描かれているのは、過去を振り返り、もしあの時違う選択をしていた
ら別の人生があったのでは、と考える男や女の話だ。とはいえ、作者は
角田光代。単純な夢想話などひとつもない。登場人物は、過去を振り返
ると共に現在の自分を思い、さらに、他人のそれに思いを馳せる。結果
的に「今そこに生きている自分」がクッキリと浮かび上がってくる。

 特にいいのが最後の2編。表題作「平凡」は、しがないパートの主婦
紀美子と誰もが知っている料理研究家春花、高校のクラスメートだった
2人が再会する話。このシチュエーションがなんともいいのだが、春花
は庭子にとんでもないことを頼み込む。平凡な人生って?と自分に問わ
ずにはいられない物語。ラストの「どこかべつのところに」は、思いの
中に自責の念があるところが他とは違う。愛猫を逃してしまった庭子、
息子を亡くしてしまった老女愛、2人の出会い。「そうなのよ、だって、
生きているから」という愛の言葉に僕は涙を流した。珠玉の一編。

 「平凡」は全体を通して人生に対する肯定があり、希望がある。自ら
の生き方にもう一度思いを巡らしたくなる短篇集。角田光代、この人は
やっぱりすごい。(No.295)

◯角田光代のその他の本のレビューはこちらから。 

            ◯ ◯

2014.8.15 お盆ですね。あまり関係ないけれど。関東地方はまたまた
暑くなっちゃって…。読書は片岡義男「ミッキーは谷中で六時三十分」。

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【書評】角田光代「私のなかの彼女」

◇出会いの恐ろしさ、言葉の恐ろしさを描いてスゴい小説。
私のなかの彼女私のなかの彼女
角田 光代

新潮社 2013-11-29
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 ある出会いが一人の女性の人生を変えた。主人公の和歌は18歳の時
に大学で出会った仙太郎と交際を続けている。彼は学生の頃からアーテ
ィストとして雑誌に連載を持つほどの男。センスもよく知識も豊富な仙
太郎に対して、和歌は就職にも人生にも何のビジョンも持っていない。
なんとか小さな出版社に入社した和歌だが、ある日、実家の蔵で祖母が
書いたらしい一冊の本を見つける。これがきっかけとなって、彼女は小
説を書き始めることになる。モノを作るという同じ立場になった時、和
歌の前には常に仙太郎の存在があった。

 賞にノミネートされ、ついにはある文学賞を受賞する和歌。そんな彼
女に仙太郎はいい放つのだ。「小説ってかんたんに書けるものなんだな」
「ぱっと書いてぱっと賞もらってぱっと本出してる」、その後も彼が何
気なく放つ言葉が和歌の心をえぐり、大きな抑圧を生み出していく。と
はいえ、仙太郎がひどく常識を欠いたイヤなヤツというわけではない。
日々の暮らしの中で放たれる言葉の恐ろしさ。読む人によっては「あぁ、
こういうことオレもよく言ってる」と思うだろう。書くことだけに夢中
になり、暮らしがすさんでいるにもかかわらず平然としている和歌に対
しては反感を持つ人も多いだろう。

 それでも、2人は出会ってしまった。18歳から13年間も一緒に暮
らした。「なんて歪んでいびつな人生だろうか」と和歌は物語の終盤で
ひとりごちる。そして、自らの孤独を強く強く思うのだ。角田光代はい
ろいろなタイプの小説を書くのでそれだけでもスゴいと思うのだが、こ
れもまたなんだか怖くてスゴい小説である。(No.270)

◯角田光代のその他の本のレビューはこちらから。        

            ◯ ◯

2014.1.27 暖かくなったぁ、と喜んでたら今日はやたらと寒い。宮部
みゆきの「ペテロの葬列」を読み始めるが、ややややや、分厚いっ!!

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ボクシング描写がなんとも素晴らしい、角田光代「空の拳」。

空の拳空の拳
角田 光代

日本経済新聞出版社 2012-10-11
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 作者の角田光代は輪島功一のボクシングジムに10年も通っているそう
だ。そんな彼女のボクシング小説、期待が高まる。まず何といってもい
いのが試合のシーンだ。「Number」などのルポや沢木耕太郎の本も読
んでいるが、これはもう実際にやっている人間にしか書けないであろう
的確な描写で本当に素晴らしい。それは、後半になって登場人物のラン
クが上がって来るほどに熱を帯びてくる。観客たちの興奮、会場の熱気
までもが伝わって来て、こちらもまた熱くなる。こんなボクシング描写
だけでもこの小説には一読の価値がある。

 主人公がボクサーでないのもまたいい。那波田空也は出版社勤務の若
者、文芸編集部志望だが、なぜか「ザ・拳」というボクシング雑誌の編
集部に異動になる。小説の舞台になる「鉄槌ボクシングジム」に空也が
初めて行った時、彼は「くさい。まず思った。くさくてうるさい。なん
か嫌」、ここからすべてが動き出す。悲惨な生い立ちだが将来有望とい
われている立花、さわやか青年で空也の同期(なぜか空也はジムに入門
する)である坂本、その友人で6回戦ボーイの中神などを中心に物語は
進んでいく。そこにはいつも「強いってどんなことなのだろう」という
空也自身のボクシングへの問いかけがある。日本ランカーからさらに上
をめざす者、未来への期待を抱かせる者、しだいにボクシングから遠ざ
かっていく者、そしてそんな彼らを取材する空也。各々のボクサー人生
と青春が角田光代らしいてらいのない表現で描かれていく。これはスポ
ーツ小説であり、青春小説であり、人間小説でもある。ラスト、その世
界からだんだんと遠ざかり始めた空也が街頭のテレビであるボクシング
の試合を見る、このラストが本当にうまい。(No.225)

◯その他の角田光代の本の書評はこちらから。
◯年末に昨年のマイベストを発表しました。前項です↓よろしく。

◎「空の拳」は2015年10月9日、文春文庫から上下2巻で文庫になり
 ました。
空の拳 上 (文春文庫)
角田 光代
4167904624

               ◯ ◯

2013.1.4 あけましておめでとうございます!今年もこの本のブログ
をどうぞよろしく。情報量をもう少し多くできれば、と思っています。
新年の読書は村上龍「55歳のハローライフ」。ううむ。

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深い闇がしだいにあけてゆく、角田光代「かなたの子」。

かなたの子かなたの子
角田 光代

文藝春秋 2011-12
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 角田光代の泉鏡花文学賞受賞にはちょっと驚いた。幅広い分野の書き
手であるのは知っていたが、僕が読んだ中には鏡花的な作品はなかった
からだ。対象は「ロマンの香り高い小説や戯曲などの単行本」というこ
となので、思った以上に幅の広い賞なのかもしれないが…。

 それにしても、角田光代の最近の充実ぶりはすごい。昨年は「ツリー
ハウス」で伊藤整文学賞、今年は「紙の月」で柴田錬三郎賞。受賞とい
うことに限らず、時代物に挑戦したりボクシング小説を書いたりと八面
六臂の活躍ぶりだ。僕は彼女のいい読者とは言いがたいが、この作家に
はこれからもずっと注目していきたい。

 「かなたの子」はホラー感覚の小説である。ホラーといってもすごく
恐ろしくはない。ジワジワと恐ろしい。もののけや魔物が恐ろしいので
はない。人間が恐ろしい。8つの話を収めた短編集なのだが、物語は、
最初は深い闇の中にある。最終話に近づくにつれてその闇があけてくる。
この構成が見事だ。少し昔の話から現代の話までシチュエーションは様
々だが、そこには死があると同時に生がある。登場人物は死の間近にい
たり、自ら手を下し相手を死に追いやったりもするのだが、彼らの生に
対する希求は強い。あがいてもがいてそれでも生きようとする人々。そ
の凄まじさは恐怖か?僕は怖さよりも、強い共感を覚えた。(No.221)

◯角田光代さんのその他の本の書評はこちらから。

◎「かなたの子」は2013年11月8日、文春文庫で文庫化されました。
かなたの子 (文春文庫)
角田 光代
4167672103

               ◯ ◯

2012.11.20 昨日あたりかなり寒かったし、週末も冷え込むようなの
で暖房を入れることに。一度入れたら春までずっと付けっぱなしのシス
テム。例年より少し早い。読書は「バーニング・ワイヤー」。

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家族の変わらぬ時と変わりゆく時を描いて見事な「夜をゆく飛行機」。

夜をゆく飛行機 (中公文庫)夜をゆく飛行機 (中公文庫)
角田 光代

中央公論新社 2009-05
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 2006年の作品で文庫化もされている小説だが良い評判を聞いたので
読んでみた。明るいトーンの家族小説というスタイルにまず惹かれる。
物語は受験を控えた高校生里々子の一人称で語られている。明るいと書
いたが、この小説、明るさと共に深さとせつなさも併せ持っている。

 1999年の東京、谷島酒店は嫁いだ有子を含め、寿子、素子、里々子
の四姉妹と父母のにぎやかな一家。里々子にはさらに心の友として生ま
れて来なかった末の弟「ぴょん吉」がいる。そんな谷島家に次々と事件
が起こる。寿子が家族をモデルにした小説で新人賞を受賞する。それを
読んだ有子が激怒しなぜか家に戻って来る。父の妹ミハルが急死する。
父母は生活を脅かすスーパーの出現に戦々恐々とし、素子は店のエノテ
カ化なんてことを画策する。変わらないと思っていた暮らしが思いがけ
なく変わっていく。寿子の小説の中で一家は「永遠のくり返し」のよう
な、まるで「サザエさん」みたいな日常を生きていた。姉妹がそれを読
んだことが変化のきっかけになったのは確かだが、そうでなくても家族
というのは自然に変わっていくものなのかもしれない。そんな変化にい
らだち、取り残されたように感じていた里々子自身もいつの間にか恋を
して変わっていく。小説の中で語られたその場所は、家族にとってほん
のひと時の夢のような場所だったのだろうか。この小説は家族の「変わ
らぬ時」と「変わりゆく時」を描いて見事な物語になった。(No.158)

               ◯ ◯

2011.6.18 「さようなら原発 1000万人アクション」、ネットで署
名もできます。しかし、9月19日は遠いな。

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岸を渡る女たちの物語、角田光代「対岸の彼女」。

過去の物語が現代の物語を支える構成が見事。

対岸の彼女 (文春文庫)対岸の彼女 (文春文庫)
角田 光代

文藝春秋 2007-10
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 05年の第132回直木賞受賞作品。専業主婦の小夜子の物語と高校生の
葵の物語が交互に描かれる。このスタイルがとても効果的だ。小夜子の
物語は現代、葵の物語は過去。そして、小夜子の物語には35歳になった
葵が登場する。

 「対岸の彼女」とはなんともうまいタイトルだ。現代の2人はまさに
「対岸」にある。小夜子は子育てと姑のいやみに疲れ、周りともうまく
やっていけない主婦。一方の葵は旅行事務所を切り回す明るくパワフル
なビジネスウーマン。小夜子が再就職を決意し面接に行ったのが葵の会
社だったのだ。しかし、タイトルの意味はそれだけではない。対岸にい
るような葵は、実は高校時代は小夜子と同じ岸にいたのだ。その葵がど
うして今の葵になったのか。そのプロセスを一方で描きながら、もう一
方では現代の2人の友情と亀裂を描いていく。現代と過去が交互に語ら
れるスタイルだからこそ、物語はよりリアルでスリリングになったと言
える。過去の葵の物語が確実に現代の物語を支えているのだ。

 物語の後半で小夜子は何度も自分に問いかける。「なんのために私た
ちは歳を重ねるんだろう」と。その答えがこの小説のラストにある。向
こう岸へと、力強くオールを漕いで渡る勇気をこの物語は与えてくれる。

               ◯ ◯

2010.7.7 七夕、でもこちらは雨。それにしても「暑い梅雨」である。
なんだか夏になる前にバテちゃいそう。ネットでは風邪ひいてる人の話
がけっこう多い。

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ドラマ「八日目の蝉」を見る!

ひぇ~、こりゃアカン。過剰な演出×ミスキャストで、どうにもならん
です。角田光代の原作にも瑕疵はある。それでも物語の力があるから、
読者はこの小説を支持してるのだ。ドラマ化するなら、その傷をうまく
カバーして、よりリアリティを持たせるのが演出家と脚本家の仕事なの
に。この感じじゃ、ラストも改悪する恐れあり。ヤだなぁ。原作の紹介
こちら。ドラマは止めても、原作は読めっ!!!!!

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3月末テレビドラマ化!「八日目の蝉」は読んでから見よ!

この逃避行、その果てに彼女は何を見たのか?
すでに13万部を突破した角田光代、昨年の話題作。ドラマ化のニュース
を聞いたので急いで読んだ。

不倫関係にあった男の家から女が赤ん坊を連れ去るところから物語は始
まる。それが長い逃亡生活の始まりだ。3年にも渡る女と赤ちゃんの逃
避行!彼女は友だちの家を皮切りに各地を転々とする。最初はこの女に
あまり共感できずにいたが、安住の地ともいえる場所にたどりついた時
点で、「この2人の未来」に対する思いが強く湧いてくる。赤ん坊だっ
た女の子も3歳になり、女を母親だと信じている。「この2人、これか
ら先いったいどう生きていくのか?」。しかし、この逃亡の物語は意外
なほどあっけなく幕を閉じるのだ。

そして、次に用意された新たな物語は18年後。主人公は誘拐された女の
子だ。ここに来て初めて、私たちはこのストーリーが逃亡の物語ではな
いことに気がつく。子どもを奪われた夫婦、当事者である女の子、そし
て、犯人の女。それぞれがたどった18年という歳月。これは母性の物語
であり家族の物語であり、孤高の魂の物語だ。あえぎながら苦しみなが
ら、それでも強く生きる人々を描いたこの小説、その結末に心が震えた。

八日目の蝉
4120038165


◎「八日目の蝉」は2011年1月22日、中公文庫で文庫化されました。

八日目の蝉 (中公文庫)八日目の蝉 (中公文庫)
角田 光代

中央公論新社 2011-01-22
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