津村記久子 no.150        

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【書評】津村記久子「エヴリシング・フロウズ」

◇心も人間関係も漂うように過ぎていく。
エヴリシング・フロウズエヴリシング・フロウズ
津村 記久子

文藝春秋 2014-08-27
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 津村記久子は本当にいい。タイトル、これ何と訳すのがいいのかなぁ、
と思いながら読んでいたら最後の最後に答えがあった。「すべては漂っ
ている」、この言葉で物語は終わる。「エヴリシング・フロウズ」は、
まさにタイトル通りの物語だ。

 中3生のヒロシは絵を描くのが好きだけれど、すべてのことに自信が
持てない男子だ。といっても頭のなかではいろんな思いが渦巻いている
のだが、そのことをうまく言葉にすることが出来ない。級友である野末、
ヤザワ、大土居…ヒロシは彼女が好きなのか?彼とは親友なのか?彼女
と妹をどうしたいのか?ヒロシの周りにいるのは群れたりしない男子女
子ばかりなのだが、彼らとの関係も何だかあやふやなままだ。事件みた
いなこともあるけれど、彼はできることをできる範囲でやるだけだ。受
験に対してもすごく気合が入ってるわけではない。

 主人公のこのフラットな心が何だかとてもいい。心も人間関係も漂う
ように過ぎていく。自分みたい、と共感するのは学生だけではないだろ
う。社会人だってヒロシみたいな人間は多い。作者はそういう人たちを
肯定している。というか「ま、こんなもんですよ。いいんじゃないです
か」と言ってるような気がした。津村記久子、今まで一冊しか読んだこ
とがないのだけど、全部読みたいなぁ、ううむ。(No.303)

◯津村記久子のその他の本のレビューはこちらから。 

            ◯ ◯

2014.10.16 東京地方、なんだか急に寒くなった。マフラーしてる人
もいた。読書は松家仁之「優雅なのかどうか、わからない」。

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ボヤッとしたリアル感がいい津村記久子「とにかくうちに帰ります」。

とにかくうちに帰りますとにかくうちに帰ります
津村 記久子

新潮社 2012-02-29
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 いやぁ、津村記久子っておもしろいなぁ。これは「職場の作法」とい
う大タイトルがついた4つの連作短編と「バリローチェのファン・カル
ロス・モリーナ」、表題作「とにかくうちに帰ります」が収められた作
品集。前の2つは同じ職場の同じ人々が主人公で、僕は表題作よりこち
らの方を随分とおもしろく読んだ。

 先輩である田上さんと浄之内さん、そして語り手である鳥飼嬢。「職
場の作法」で語られるのは地理情報会社で働く女性たちの日常だ。それ
は、たとえば、田上さんの自らのルールにしたがった仕事の進め方だっ
たり、浄之内さんにちょっかいを出す部長の話だったり、人の持ち物を
平気で失敬しちゃう定年前のおじさんの話もおもしろい。「バリローチ
ェの〜」は、アルゼンチンの地味なフィギュアスケート選手をめぐる鳥
飼嬢と浄之内さんの静かなバトル…。

 この2編は、職場とその人間関係を描いているのだが、作者独特のユ
ーモアもあり「リアル」な話とはちょっと違う。あるようなないような、
いるようないないような、わかるようなわからないような。この「ボヤ
ッとしたリアル感」が何だかいい。そしてそれは、1本の補助線を引け
ば確実に自分の日常や人生に行き当たる。読みながら、いつの間にか大
したこともないわが人生について考えている自分がいた。ううむ。この
人の小説、もっと読まなくては。

 表題作は豪雨のためバスが停まってしまい、橋を渡り本土の駅まで歩
くことを余儀なくされた人々の話。雨と寒さの中、ただただ家に帰り着
き、暖まりたいと願う彼ら。ここには、非日常の中に日常がある。この
短編でもまた作者のユーモアのある文章が巧みで、豪雨の中、帰りを急
ぐ人々を見事に活写していく。読み終わると不思議なことに元気になる
ような小説。そして、これ、しばらくたつと無性に再読したくなってく
るのだ。(No.210)

◎「とにかくうちに帰ります」は2015年9月27日、新潮文庫から文庫
 になりました。
とにかくうちに帰ります (新潮文庫)
津村 記久子
4101201412

                ◯ ◯

2012.8.29 いったいいつまで暑いのかな?読書は綿矢りさ「ひらいて」
を読了したばかり。あ、そろそろパラリンピックが始まるぞ。


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