ローラン・ビネ no.179        

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【書評】ローラン・ビネ「HHhH プラハ、1942年」

◇何とも素晴らしいこのスタイル!この物語!
HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)
ローラン・ビネ 高橋 啓

東京創元社 2013-06-28
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 素晴らしい!「HHhH」で一番スゴいのはスタイルだ。こういうスタ
イルで小説が書けるとは!この物語、副題の通り、舞台は1942年、
ナチ占領下のチェコ・プラハ。ユダヤ人大量虐殺の首謀者で「金髪の野
獣」と恐れられたラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件を描いている。

 最初、読む者は混乱するだろう。登場する「僕」って誰?これはどう
いう物語?しだいに分かってくるのは、この「僕」が作者ローラン・ビ
ネ自身であること。彼はこの暗殺事件について、あらゆる文献を読み、
関連の小説や映画などにもしっかりと目を通している。そして、彼は思
うのだ。いろいろなことは分かった。しかし、分からないこともたくさ
んあるのだ、と。

 小説の中でビネは「この場面も、その前の場面も、いかにもそれらし
いが、まったくのフィクションだ。ずっと前に死んでしまって、もう自
己弁護できない人を操り人形のように動かすことほど破廉恥なことがあ
るだろうか!」と言い放つ。物語を書きながらも作者は、自問自答を続
けるのだ。「フィクションなら何をしてもかまわない」のか、と。裏返
せばこれは、暗殺を実行した2人の青年、そして、彼らを助けたチェコ
の人々への敬意と弔意に違いない。いいかげんなことは書けない、とビ
ネは思っている。

このスタイルは、暗殺のその場面でピークに達する。作者と暗殺者た
ち、過去と現在が渾然一体となったようなこれまでにない表現!感じた
ことがないような興奮!ローラン・ビネ、恐るべし!こういう新しいス
タイルで語られながらも、この小説は戦争の恐ろしさ、人間の狂気をし
っかりと伝えている。反戦への思いも強く感じる。ラストのいかにも小
説らしい終わり方もまたこの作者らしい。これはもう、小説好きにとっ
ては必読の1冊だと僕は思う。(No.289)
       
            ◯ ◯

2014.6.18 Mac、ついにハードディスクを交換。トラブルが続いたが
これで直ってくれれば。サッカー日本代表も、しっかり治して?がんば
ってね。読書は逢坂剛「百舌の叫ぶ夜」。

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