辻村深月 no.183        

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【書評】辻村深月「島はぼくらと」

◇これは、青春小説にとどまらない深くて大きな物語。
島はぼくらと島はぼくらと
辻村 深月 五十嵐 大介

講談社 2013-06-05
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 最初は青春小説だと思った。表紙もあの五十嵐大介が描いたこんな感
じだし。「島はぼくらと」は、確かに青春を描いた小説ではあるのだけ
どそれだけにはとどまらない深くて大きな物語だった。舞台は瀬戸内に
浮かぶ本土とはフェリーで20分ほどの距離の冴島。主人公は同学年が
島に4人しかいない高2生、朱里と衣花、そして、源樹と新だ。島に高
校がないので4人は毎日本土へと通っている。

 冴島はIターンの居住者を積極的に受け入れている。シングルマザー
もたくさん島にやってくる。そういう島だからこそ起こる物語がここに
はある。島に伝わる「幻の脚本」を探しに来た男、すべてを捨ててこの
島に移住してきた「銀色のマーメイド」蕗子、皆から愛される地域活性
デザイナー・ヨシノ、彼らの話は朱里たちや島の人々の心にさざ波を起
こす。

 ヨシノのテレビ出演の話を境に、物語はさらに大きな展開を見せる。
島の住民、Iターンの人々、若者に大人、彼らのいろいろな思いや人生
がその中で交錯する。後半、朱里のおばあちゃんの親友探しが、朱里と
衣花、2人の友情の話へシンクロしていく構成がうまい。彼女たちの熱
い想いに思わず涙する。エピローグとして語られる26歳の2人。この
サプライズのなんとも素晴らしいこと!さすが昨年の話題作だ。今年発
売だったらマイ・ベストに入れたくなる傑作小説。(No.299)

            ◯ ◯

2014.9.15 世間は3連休ね。フリーランスにはあまり関係がない。読
書は中原清一郎「カノン」。なんだかすごい話だなぁ。

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