ローリー・リン・ドラモンド no.20        

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【書評】ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」

◇元警官の作者が描く女性警官の懊悩。
あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ローリー・リン ドラモンド 駒月 雅子

早川書房 2006-02-08
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 僕が今一番新作を待望している作家、それがこのローリー・リン・ド
ラモンドだ。それほどにこの「あなたに不利な証拠として」は素晴らし
いできばえの小説だった。
 
 女性警官たちを主人公にした連作短編集で、それぞれの主人公の名が
タイトルになっている。キャサリン、リズ、モナ、キャシー、サラ。最
初のキャサリンの物語から、僕らは彼女たちが生きている世界にグイグ
イと引き込まれていく。キャサリンは職務中に強盗を射殺した。元警官
の作者は、女性警官の日常の行動を、事件現場の状況を、彼女が射殺に
いたるまでの心の動きを、その後の懊悩する姿を、そのすべてを精緻な
タッチで描いていく。まるでその場にいるように。苦しみもがくキャサ
リンの側にいるように。

 交通事故で辞職を余儀なくされたリズ、同じ警官である父親との確執
に苦しむモナ、レイプ事件の被害者との因縁めいた関係に驚くキャシー、
ある事件のあと職場を捨てニューメキシコに逃避したサラ、それぞれの
話が同じようにリアルに描かれ、読後に大きな余韻を残す。作者が現場
をよく知っている、ということだけではこんな小説を書くことはできな
い。彼女の洞察力、観察力、表現力が素晴らしいのだ。警察小説ではな
い物語もぜひ書いて欲しい。この人の作品なら絶対すごいに違いないか
ら。文庫版も出ているが表紙があまりにひどい。ここはやはりポケミス
で読みたい。

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