伊集院静 no.26        

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子規の青春の輝きを描いて心に残る、伊集院静「ノボさん」。

みなさん、遅まきながらあけましておめでとうございます。今年もこの
長ったらしい名前の本のブログをどうぞよろしくお願いします。思い切
って、デザインも変えてみました。では、本年1冊めのレビューです。

ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石
伊集院 静

講談社 2013-11-22
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 サブタイトルは「小説正岡子規と夏目漱石」。ノボさんこと正岡子規
のことは昔から興味があったが関川夏央が書いて、このブログでも紹介
した「子規、最後の八年」を読んで、さらに興味が深まった。そして、
名手伊集院静の手になるこの一冊!副題の通り、2人の物語ではあるけ
れど、読後に残るのはやはり正岡子規という稀有な存在のことである。

 小説は明治二十年、ノボさん21歳の秋から始まる。彼が当時夢中だ
った「べーすぼーる」に興じる姿はまさに青年子規の象徴である。帝大
の予備門に一発で合格した天才児。漱石はもちろんのこと一度会っただ
けで人を魅了してしまうその人間的魅力。前半で描かれるのは、まさに
彼の青春の輝きだ。夏の勉強会と称して向島に長逗留する話は前半の白
眉、強く印象に残る。

 後半では血を吐いて肺結核、さらにはカリエスになり動くこともまま
ならない彼の姿がある。ここで描かれるのは、傑出した文学者としての
子規の大きさ、そして、彼の存在が後に続く俳句の連峰、短歌の峰々、
小説の峰を作り出したという事実である。もちろん、漱石との強い友情
も心に残る。2人がこれほど心を通わせ、深いところで結ばれていたと
は。彼をひたすら支え続けた母の八重と妹律の姿も感動的だ。(No.267)

◯伊集院静のその他の本のレビューはこちらから。
◯関川夏央「子規、最後の八年」の書評はこちらです。 
◯あ、前項で去年のベストワンブックを発表したので見てくださいね。       

            ◯ ◯

2014.1.7 というわけで、昨日から仕事も再開しました。まぁボチボチ
やります。読書はジェフリー・ディーヴァー「シャドウ・ストーカー」。

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伊集院静、松井秀喜にメロメロになる、「逆風に立つ」」

逆風に立つ    松井秀喜の美しい生き方逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方
伊集院 静

角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-09
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 今日、というか昨日の深夜、ヤンキースタジアムで松井の引退式が行
われた。僕はワイドショーの映像を見ただけだが、伊集院夫妻はきっと
テレビにかじりついて、この異例ともいうべきセレモニーに拍手を送っ
たに違いない(いや、スタジアムに行ったかも)。伊集院静という人は
作家としてだけではなく、人間としても魅力的な男だ。それは彼が書い
たものを読むだけでわかる。「松井秀喜の美しい生き方」というサブタ
イトルが付いたこの「逆風に立つ」という本は、平ったく言ってしまえ
ば、そんな作者が松井秀喜という人間にメロメロになっちゃった、とい
う話だ。男が男に惚れる、ってことですかね。

 引退会見をする、という松井の電話から物語は始まる。そして、ヤン
キースタジアムでのデビュー戦へと過去に遡っていく。そんな回想の中
で、彼と彼の妻、さらにはニューヨーカーたちがなぜこれほどまでに松
井を愛し、ファンになっていったかが語られる。

 伊集院と松井が会ったのは雑誌の企画だ。「(松井選手が)あなたと
話ができるなら対談に出てもいい」と言っている、という電話が編集者
からかかってきたのだ。松井は「あなたの本を読んでいて、ファンだ」
と言う。伊集院は驚いた。小説を読むプロ野球選手がいるのか?すべて
はそこからスタートした。作者は会った時からこの若者に魅了され、本
を送る約束までしてしまう。その後、松井という人間の謙虚さに驚き、
しだいにその人間性に惹かれていくのだ。大リーグでは大きな怪我をし
た。逆風に立ちながらもそれを平然と受け止め、克服した松井の姿に、
大きな拍手を送っている。

 贔屓目で書いてる感じがさほどしないのは、僕ら一介のプロ野球ファ
ンから見ても松井という男はまさにそういう男だからだろう。いずれに
してもここには等身大の「松井秀喜」が描かれている。本文中に野球を
やめたらコーチや監督になるのかと聞かれ、彼は「そうはしないと思う」
と答えているのだけど、どうなのだろう?監督松井も見たいような気も
するし、何か違うことをするのもいいような気もするが。(No.249)

※この本は2007年3月ランダムハウス講談社から刊行された「MODESTY
 松井秀喜 つつしみ深い生き方」を加筆・修正し、再編集したものだ。

◯伊集院静のその他の本のレビューはこちらから。 

               ◯ ◯

2013.7.29 今日は一日雨かな?山口や島根は大変だったようですが…。
雨は恐い。読書は仁科邦男「犬の伊勢参り」。

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事件の部分が少し弱い、伊集院静初めての推理小説「星月夜」。

星月夜星月夜
伊集院 静

文藝春秋 2011-12
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 物語は2人の人間の失踪から始まる。東北から東京に出たまま行方の
知れない娘佐藤可菜子、一方、出雲では鍛冶職人の老人佐田木泰治が突
然姿を消した。この2人が東京湾で死体となって同時に発見される。刑
事たちの地を這うような捜査が始まるが、犯人の手掛かりはまったくつ
かめず…。

 去年ノリに乗っていた伊集院静の最新作。帯には「新しく、何かに挑
もうと決めた。初めての推理小説を書くことにした」という著者の言葉
がある。「社会派推理小説の傑作誕生」というフレーズも。人間描写が
確かな伊集院静が書くミステリーなら期待できそう、と読み始めたのだ
が、これを「砂の器」や「飢餓海峡」という名作と一緒にするのは(こ
れも帯にあり)ちょっと無理があるような気がする。「社会派」なのか
も少々疑問だ。

 作者がこの物語で力を入れて描いたのは、可菜子の祖父で彼女を捜す
ため上京してきた佐藤康之であり、佐田木泰治の孫娘由紀子だ。愛する
者を失った被害者の家族である。彼らの慟哭こそを作者は描きたかった
に違いない。それは確かに成功している。ただ、その分、事件をめぐる
諸々のことが弱い。事件のプロセスや犯人の造形、その動機などが今ひ
とつピンと来ないのだ。刑事たちの奮闘ぶり、怪しい元刑事の存在、出
雲の銅鐸の話など読んでいて飽きることはないのだが…。やはり、推理
小説と銘打った以上は核心の部分をビシッと書いて欲しい。それが描か
れてこそ、被害者家族の悲しみもより伝わるはずだと思うのだ。(No.187)

               ◯ ◯

2012.1.21 芥川賞と直木賞、決まりましたね。またまたどれも読んで
ないけれど…。bk1「今週のオススメ書評」に椎名誠「そらをみてます
ないてます」が選ばれました。この小説、僕は大好きです。

bk1での紹介はこちら(26日まで掲載)、当ブログでの書評はこちらです。

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年間ベストを争うであろう傑作、伊集院静「いねむり先生」。

いねむり先生いねむり先生
伊集院 静

集英社 2011-04-05
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 これは今年読んだ新刊の中ではベスト、おそらく年間のベストを争う
ことになる傑作だ。「いねむり先生」とはあの色川武大(阿佐田哲也)
のこと。この小説は「先生」と呼ばれ、会えば誰もがその魅力に取り憑
かれる色川の物語であり、同時に、妻の死のショックから立ち直れない
でいた作者の復活の物語でもある。2つの話が交錯することで、物語は
奥行きを増している。

 それにしてもここで描かれる色川は本当に魅力的だ。作者や友人たち
との会話を読んでるだけでいい気持ちになれる。邪心がなくまさに「大
人(たいじん)」の風格。しかし、彼には持病があり、精神的な病もあ
る。作家として悩み続ける姿も含めて、ここでは色川という人間がまる
ごと描かれている。そこが素晴らしい。作者が色川と出会ったのは、女
優の妻を亡くし、やり場のない憤りと虚脱感で酒とギャンブルに溺れ、
そこから何とか這い上がりつつある頃のこと。色川が伊集院のことをず
っと気にかけている、その気にかけ方がまたいい。トピックは2人で何
度か出かける競輪の「旅打ち」だろう。一宮では行きの新幹線で先生が
富士山を見ておかしくなっちゃうし(先端恐怖症らしい)、着いてから
は「街の女」に激しく罵倒されたりする。松山では釣宿の主人との交流
が何ともいい。「あの人は宝じゃから」とさりげなく語るこの漁師が素
敵だ。そして、弥彦の旅。つらい過去を持つ男との出会い。作者はここ
で、まさに先生の手によって長年悩まされ続けてきた悪夢の発作から解
放されるのだ。

 文中ではKさんと呼ばれる黒鉄ヒロシ、Iさんと呼ばれる井上陽水と
のエピソードも心に残る。作者がずっと小説は書けないと言い続けてい
るのも印象的だ。そして、最後の「再会」のエピソード。この小説では
人間そのものがゴロリとまるごと描かれている。その「まるごと感」が
読むものを魅了して離さない。これはなんともすごい小説である。「い
ねむり先生」というタイトルだけが僕には何だかピンと来ない。それだ
けが残念。(No.155)

◎「いねむり先生」は2013年8月21日、集英社文庫で文庫化されました。
いねむり先生 (集英社文庫)
伊集院 静
4087450996

               ◯ ◯

2011.6.2 昨日は愛犬ひなたの歯の手術。もう一回あるが大変な方は
終わって一安心。しかし、小動物に麻酔というのはヤなもんだなぁ。昨
日も醒めてからフラフラしてた。単行本50冊ぐらいの手術費、あぁ。

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伊集院静「海峡」「春雷」「岬へ」、圧倒的な物語の力!

読み出したらやめられない、力強い成長物語。
 伊集院静の自伝的三部作、「海峡」「春雷」「岬へ」、すでに3冊と
も文庫になっている。ちょっと分厚い物語なので遅読の自分は少々ビビ
る。でも、読みたい!よしっと思い読み始めたら、これがもう「巻をお
くことあたわず、寝食を忘る」のおもしろさ。力強い物語で、ガシガシ
ガシとむさぼり読んだ。

 瀬戸内の小さな港町で生まれ育った高木英雄の成長物語。小学生の頃
から東京に出た大学時代までが描かれているが、僕は何と言っても故郷
を舞台にした「海峡」と「春雷」が好きだ。その小さな町で英雄は友情
を育て、淡い恋をし、野球のライバルに出会い、弟との絆を深め、父へ
の反発を強めていく。父、斉次郎は、その昔、海を越え半島から日本に
やって来た男で、舞台となる小さな港町で、土木工事等の口入れ業から
飲食店まで手広く営んでいる。家の敷地内には従業員たちはもちろんの
こと、なぜかいろいろな国籍の人間が住んでおり、町の人々はその家を
「高木の家」と呼び、恐れ、どこかで蔑んでいる。その中心にどっしり
と「在る」のが家長の斉次郎なのだ。周りの者は、英雄が家を継ぐこと
を当然のことと思い、大きな期待を寄せている。そのことへの強い反発
が、英雄にはいつもある。悩み傷つきながらも、彼は自分の行くべき道
を追い求めていくのだ。

 家族を含め英雄の周りにいる人々の造形が素晴らしいことが、この3
部作を特別なものにしている。3巻『岬へ』で語られる、弟との物語、
父との物語は涙なしでは読むことができない。

 長友啓典がデザインした文庫の装幀がなんともいえずいい。色合いも
美しく、3冊並ぶとなんだかうれしくなってしまう。

海峡―海峡幼年篇 (新潮文庫)
4101196311
春雷―海峡・少年篇 (新潮文庫)
410119632X
岬へ 海峡・青春篇 (新潮文庫)
4101196338

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