佐藤多佳子 no.41        

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音楽や仲間との交流を通し成長していく主人公、佐藤多佳子「聖夜」。

聖夜 ― School and Music聖夜 ― School and Music
佐藤 多佳子

文藝春秋 2010-12-09
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 久しぶりの佐藤多佳子。School and Musicシリーズと銘打たれた2
冊のうちの1冊。もうひとつの「第二音楽室」はすでに読んで書評もあ
げているのだが、なぜかこちらだけ遅くなってしまった。読み始めて改
めて思ったのは佐藤多佳子の文章のうまさだ。普通の文章が普通にうま
い。さすが、である。「第二音楽室」は短篇集だったが、こちらは長編。
さて、どんな物語が僕らを待っているのか?

 主人公はキリスト教系の高校に通う鳴海という男の子。彼には母が父
の元から去ったことへのトラウマがあり、学校生活や部活、周りの人々
に対してどこか斜に構えている。さめた感じがする若者なのだ。オルガ
ン部に入っている鳴海は、他の部員よりもはるかに優れた技を持ってい
るのだが、メシアンの難曲を弾くことになっていた文化祭の直前にとん
でもない行動に出てしまう。

 これは鳴海が音楽やオルガン部の仲間たちとの交流を通して、苦しみ
ながらも成長していく姿を描いた物語だ。教会の牧師である父との会話、
後輩からの恋の告白、ロック好きの友人との交流が、彼の心を少しずつ
変えていく。鳴海や部活仲間たちの演奏場面の描写が素晴らしい。奏者
の思いとその音が一緒になって読む者の心に響く。クライマックスのパ
イプオルガンの演奏、そして、クリスマスツリーを見上げての会話と合
唱が感動的。「第二音楽室」と共に読んで欲しい音楽小説の傑作だ。
(No.189)

●佐藤多佳子、「第二音楽室」を含むその他の書評はこちらです。

◎「聖夜」は2013年12月4日、文春文庫で文庫化されました。
聖夜 (文春文庫)
佐藤 多佳子
4167857022


               ◯ ◯

2012.2.9 今日は母の87歳の誕生日。ささやかなお祝いを。読書は、
「のぼうの城」読了。朝井リョウ「もういちど生まれる」を読み始める。

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音楽が何かを教えてくれる、佐藤多佳子「第二音楽室」。

第二音楽室―School and Music第二音楽室―School and Music
佐藤 多佳子

文藝春秋 2010-11
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 佐藤多佳子の「第二音楽室」、音楽をテーマにした4つの物語、どれ
も女の子が語り手だ。鼓笛隊の落ちこぼれピアニカ組に入ってしまった
小学生6人組、音楽の実技テストでペアを組み歌う中学生の男女、卒業
式の証書授与でリコーダーの生演奏をすることになった男女4人組、中
学時代のいじめをひきずりながらも高校ではバンドでベースを弾く女の
子。これは共に演奏したり、共に歌ったりすることで、何かを見つけ、
さらに前へ進んで行こうとする若者たちの物語だ。


 佐藤多佳子はこういう小さなグループの話がすごくうまい。彼らの間
を飛び交う言葉が活き活きと感じられる。音楽の身体性を意識したよう
に、お互いが体をたたいたり、どつく遊びをしたりというシーンが何度
か登場するのも効果的だ。しかも、彼女の小説は読んでいるうちに心に
ぴたっと寄り添って来る
。そこにある様々な感情…迷ったり、たたずん
だり、振り返ったり、少しだけ勇気を出したり、登場する彼女たちのそ
んな心の動きに共感すると共に、いつの間にか自らも「その時代」に戻
っている。文体は軽やかだけど、そこからそっと降ろされた錨(いかり)
は心の奥底までしっかりと届いているようだ
。う~ん、いいなぁ。なぜ
だか急に涙が出ちゃったりするんだよなぁ。読んでいくうちに心がほど
けていくような感覚があるんだなぁ。

 4つの物語は重なり合い、ひとつになる。なんだかとても優しい気持
ちになると共に、元気が出てくる。これは若者たちだけの物語ではない。
青春の想いを忘れてしまっているおじさんやおばさんにも必要な物語だ。
(No.117)

佐藤さんの他の本の書評はこちらから。

               ◯ ◯

2010.12.2 あれあれあれ、12月になっちゃった。「第二音楽室」とペ
アになる「聖夜」は10日発売。男の子が主人公の長編小説だって。こち
らも楽しみ。今読んでるのは吉田修一「悪人」。


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11月に佐藤多佳子「第二音楽室」、12月には「聖夜」も!!

 先日、ちらっと書いた佐藤多佳子さんの新刊「第二音楽室」は11月
13日発売で文藝春秋のホームページにも告知が出ました。音楽にまつ
わる4つの物語、短編集です。そして、これは文春のメルマガでわか
ったのですが、12月には「第二音楽室」とペアになる「聖夜」が連続
刊行になるそうです。お~~~。佐藤さんの音楽小説と言えば、「
マータイム」が印象的、彼女は何を書いてもうまいです。未読の人は
ぜひどうぞ。アマゾン等ではまだ検索かけても出てきません。出たら
こちらにも載せますね。※追記 12日になってやっとアマゾンにも出
ましたがまだ書影も出てません。何してるのかなぁ。プン!(11/12)
※さらに追記、文春に「第二音楽室」特設サイトが登場。しかも、佐藤
さん自らが登場する期間限定のツイッターまで。@school_music_bs
※書影、やっと出ました。(11/14)


第二音楽室―School and Music第二音楽室―School and Music
佐藤 多佳子

文藝春秋 2010-11
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当ブログで紹介した佐藤多佳子の本はこちらから。

               ◯ ◯

2010.11.1 何だかいつの間にか11月になっちゃったなぁ。あさのあ
つこさんの「火群のごとく」、もう少しで読み終わりますが、これは
なかなかいいなぁ。結末はどうなるのか?楽しみ。

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小気味良さがうれしい佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』。

会話が苦手な四人の男女がなぜか落語志願。

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
佐藤 多佳子

新潮社 2000-05
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 佐藤多佳子はこれまで4冊紹介してきたが、なぜか「しゃべれどもし
ゃべれども」がまだだった。この小説はすでに映画にもなったが、何と
も小気味良く、しかも、ハートにグッと来る傑作小説だ。小気味の良さ
というのは、主役の男、今昔亭三つ葉が二ッ目の落語家だから。彼の言
葉で語られる小説なので、テンポが悪くてはどうしようもない。ポンポ
ンポンと短い言葉を放り出すように語っていく文体が素晴らしい。これ、
簡単そうだが、やはり「技」が必要。佐藤多佳子にはユニークな観察眼
や表現力もあり、物語は気持ちよく盛り上がる。

 まだぺーぺーの落語家である三ツ葉の元になぜか落語を習いたいと四
人の男女が集まってくるという設定がおかしい。しかも、彼らはそろっ
て問題児。一人は対人恐怖症でテニスコーチを辞めた男、一人は口べた
で大失恋をした女、一人は大阪から転校しいじめにあってるらしい小学
生、そして最後はマイクの前だと本音でしゃべれない元阪神の野球解説
者。彼自身も壁にぶちあたってる三ツ葉は彼らを見事に更生させられる
のか?

 これは会話が苦手で人とうまくつき合うことができない心優しき人々
の物語だ。そんな彼らが最後にたどり着くのは…。ラストにふたつの山
場があるのだが、どちらもなんだかジーンときて胸がいっぱいになって
しまう。しかも、自分もがんばらなくちゃ!という思いが激しくわいて
くるのだ。人間関係に悩む多くの人におすすめの一冊だ。

               ◯ ◯

2010.8.15 敗戦の日。あ~~~今日は蒸し暑かったぁ。夜になっても
ムシムシしてる。たまらんなぁ。あ、佐藤多佳子はそろそろ「第二音楽
室」という新作が出るみたいですよ。これは楽しみ。
追記→「第二音楽室」で検索してくる方が増えてるようです。すみませ
ん、この小説は今ラインナップから消えています。また発売日がわかっ
たらこのブログで紹介しますね。どうぞよろしく!
追記→e-honにチラッと出て予約受付終了かなにかでまた消えてしまっ
たのですが、「第二音楽室」は文藝春秋から11月中旬に発売予定のよう
です。アマゾン等にも出たらトップページでおしらせしますね。
(2010.10.15)


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青春小説を越えた青春の物語、佐藤多佳子『黄色い目の魚』。

絵を描く、描かれる、ことから生まれる2人の関係がとても新鮮。

黄色い目の魚 (新潮文庫)黄色い目の魚 (新潮文庫)
佐藤 多佳子

新潮社 2005-10
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 佐藤多佳子の『黄色い目の魚』、高校生の男女が主人公だから普通に
「青春小説」と呼んでもいいのかもしれない。しかし、主人公2人の強
さ、たくましさが何ともすばらしく、また、2人を結びつけている「絵
を描く」という行為、描く、描かれるという関係を通して、2人が互い
を認めあい、好きになっていく過程、その有り様が新しく、これは普通
の青春ものとは一線を画したい物語だ。

 村田みのりという主人公の女の子が本当にかっこいい。学校に友だち
はいないし、家でも完全に浮いた存在。それでもイジイジしないで、ピ
シッと生きている。相手の木島悟はサッカー部のゴールキーパーだが、
そちらの方は自信もなく、まったくダメ。ただ死んだ父親譲りの絵の才
能がある。でも、彼が描くのは人の欠点をデフォルメしたような落書き
みたいな絵ばかりだ。そんな木島が授業でたまたま正面に座り、描くこ
とになった村田みのりに惹かれていく。「村田って、こんなふうだった
っけな? すげえ難物だな」「外見からくる第一印象は「妥協しねえ」
って感じ」。その後も木島はみのりを描く。どんどん描く。その中で様
々なことに気づき、新しい関係を築いていく。そのプロセスがなんとも
気持ちいいのだ。みのりの叔父さんのイラストレーター通ちゃんや木島
たちのアイドル似鳥ちゃんなど、まわりの人物の造形も見事だ。

 連作形式の最後の章「七里ヶ浜」は感動的。ジーンと来るし、ピュア
な気分になれる。後味がとてもとてもよく、この主人公たちのことはち
ょっと忘れられそうもない。佐藤多佳子、やっぱりこの人はすごい。

               ◯ ◯

2010.8.7 この夏はほとんど外に遊びに行ってない。見たい映画や美
術展もあるのだけど…。理由は犬がいるからだ。ノーエアコンの我が家、
夫婦2人で出かけると犬は閉め切った室内で数時間過ごすことになる。
それが心配。というわけで、早く涼しくならないかなぁ。

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「夏から夏へ」、佐藤多佳子が書いた四継のノンフィクション!

北京五輪で銅メダルに輝いたアスリートたちの物語。

夏から夏へ (集英社文庫) (集英社文庫 さ)夏から夏へ (集英社文庫) (集英社文庫 さ)
佐藤 多佳子

集英社 2010-06-25
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 さて、前回紹介した「一瞬の風になれ」を読んだら、同じ作者が書い
たノンフィクション「夏から夏へ」にもぜひ挑戦して欲しい。今回、集
英社で文庫化されたのでチャンス。まぁ、順番はどちらからでもいい。
どちらも傑作であることは間違いない。

 「一瞬の風になれ」で特に注目されたのが、100×4の400mリレー
だ。この小説で初めて400mリレーをヨンケイ(四継)と呼ぶのを知っ
た人も多いだろう。「夏から夏へ」で佐藤さんがとり上げたのは日本陸
上男子のヨンケイである。夏から夏への最初の「夏」は、2007年8月
の世界陸上大阪大会。そして、あとの「夏」が1年後の北京五輪だ。こ
の世界陸上、覚えている人も多いだろう。全体的に低調だった日本陸上
陣の中で唯一気をはいたのが男子の400mリレー。選手は塚原、末續、
高平、そして、朝原だった。彼らは準決勝で日本新記録、アジア新記録
を樹立。多くの人が注目した決勝では5位に終わったものの前日の記録
をさらに縮め、アジア記録を再度更新という快挙を打ち立てた。本の前
半はこのレースを中心に、4人のランナーそれぞれにについてていねい
に描かれ、後半では彼らのその後、次の「夏」までの様子が書かれてい
る。リザーブの小島茂之にもきちんと取材しているのがうれしい。

 佐藤さんの文章を読んでいると小説の題材ということ以上に、彼女は
陸上が好きなんだな、選手たちが好きなんだな、ということを感じる。
選手たちの魅力ももちろん大きい。本当にクレバーだし、精神力は並で
なく、自分を追い込めるだけの強さがある。彼らの言葉を聞けるだけで
もこの本は大きな価値がある。一つだけ残念なのは、五輪の前で話が終
わること。メダルを取れるとは編集者も思わなかったのだろう。文庫化
にあたって、何かプラスαがあるかもしれないのでそれにも期待したい
ところだ。

追記-文庫には佐藤多佳子さんと朝原選手の対談が載っていましたよ!

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青春スポーツ小説、といえば佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」!

レースの魅力そのものにグイグイと迫る、作者の表現力がスゴい。

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)
佐藤 多佳子

講談社 2009-07-15
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 佐藤多佳子の「夏から夏へ」が今月文庫化される。その書評は次に書
く予定だが、その前にやはりこれを紹介しておかなくては。発売時に書
いた文章なのでちょっと冷静さを欠いている感もあるが、もちろん評価
は今でも変わらない。

「あ~、うまい、うまい、うまい、うますぎる!佐藤多佳子の小説はと
にかく文体が素晴らしい。一人称なのにけっして平板にならず、様々な
角度から青春の揺れ動く心をテンポよく綴っていく。これはもうデビュ
ー当初からそう。小憎らしいほどのうまさだ。そして、そんな文体から
生まれたのが、この疾走感あふれる青春スポーツ小説「一瞬の風になれ」
だ。高校の陸上部に入ったサッカー少年新二の3年間を描いたこの物語、
もちろん成長小説でもあるのだけど、それより何より、彼が走る100m、
200m、そしてヨンケイ(四継)と呼ばれる100×4の400mリレー、
そのレースそのものの魅力にグイグイと迫ってるところがなんともスゴ
いのだ。

 この小説でいったい新二は何本レースを走るのだろう?そのひとつひ
とつを作者はとても丹念に描いていく。レース前のドキドキ、号砲前の
集中、レース中の逡巡、そしてゴールに飛び込んだ後の歓び、後悔、絶
望。学年の違い、予選か決勝か、地区か県か関東か、によってそれはみ
んな違う。あ~走るっていいなぁ~、と誰もが思うだろう。新二だけで
なく、仲間や先輩や先生、みんなみんなかっちょいー。何度か涙が出て
きたぞ!すげぇぜ、佐藤多佳子!文句なしの最高傑作!!!!!」

 文庫化されてさらに読者を増やしたこの傑作。全3冊、ということで
読まずにいる人もいるだろうが、そんな心配は無用。読み出したら止ま
らない!そして、読み終えたら、「夏から夏へ」が待っている!!




一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ- (講談社文庫)
佐藤 多佳子
4062764075

一瞬の風になれ 第三部 -ドン- (講談社文庫)
佐藤 多佳子
4062764083


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初々しさとしたたかさ、佐藤多佳子のデビュー作「サマータイム」。

「サマータイム」を聴くたびに思い出す。3人が出会ったあの夏。

サマータイム (新潮文庫)サマータイム (新潮文庫)

新潮社 2003-08
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 「一瞬の風になれ」ですっかりブレイクした感がある佐藤多佳子。僕
は「しゃべれどもしゃべれども」あたりからのファンだが、デビュー作
「サマータイム」は今回初めて読んだ。これは、佳奈と進という姉弟と
片腕を交通事故で失った広一という少年の物語。4つの話が連作という
形で収められている。佐藤多佳子はテンポのいい語り口が魅力の作家。
ムダなく、気持ち良く、軽やかに話が進むから主人公たちにも感情移入
しやすい。

 表題作「サマータイム」が第1話。佳奈が小6、進が小5、広一が中
1、彼等が出会ったある夏の話だ。タイトルのサマータイムはあの名曲、
広一がピアノで弾くスタンダードナンバーだ。彼の母はジャズ・ピアニ
ストで、隻腕の広一もピアノを弾く。そして、佳奈も進も。彼らはピア
ノを弾くことを通じて、どこかで結ばれている。それぞれの物語は高校
生になった進、佳奈、大学に通う広一の回想という形で語られる。「あ
の夏」の出会いから、それぞれの心に確かな変化が生まれ「今」に息づ
いている。ただの思い出ではなく、彼等の中でその出会いはとても大き
なものだったのだ。

 気が強く、友達を引き連れて歩くような佳奈のキャラクターが抜群。
広一の母友子や、そのボーイフレンド種田、調律師のセンダくんなど個
性的な脇役たちもいい。そして、この物語にはいつもピアノの響きとき
らめくような夏の光が感じられる。初々しさいっぱいのデビュー作だが
それ以上に佐藤多佳子の巧さ、したたかさを感じる佳作だ。

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