宮部みゆき no.53        

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【書評】宮部みゆき「ソロモンの偽証6 負の方程式」

◇本編とシンクロして見事な書き下ろし中編。
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)宮部 みゆき

新潮社 2014-10-28
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 さて、「ソロモンの偽証」文庫化にともなって、最後の6巻に書き下
ろしが付いちゃってる「問題」については、ここで書きました。で、ど
うしよう?と思ったのですが、結局、図書館で借りて書き下ろしだけ読
みました。買っちゃうのはくやしいし。

 主役の1人藤野涼子の20年後を描いたという「負の方程式」という
中編ですが、うううううむ、素晴らしかった。まいったなぁ、まったく
もう‥宮部みゆき、スゴすぎる。

 ここからはややネタバレになるので、未読で読みたくなっちゃった人
はとばしてください。まぁ、発売から随分たったので知ってる人は知っ
てるでしょうが、語り手はなんと「ペテロの葬列」等の杉村三郎なんで
す。私立探偵になっちゃってる杉村と弁護士になっちゃってる藤野涼子
がある中学で起こった事件のことで出会う。

 すごいのはですねぇ、見事にこれが本編とシンクロしてること。そし
て、最後の最後に見せる藤野涼子の怒りの理由!これはねぇ、くやしい
けれど、読んだほうがいいです。宮部みゆきの凄味を再確認することに
なるでしょう。で、この最後のフレーズって‥再会がある???ううむ。
                           (No.323)

◯「ソロモンの偽証」を含む宮部みゆきの本のレビューはこちらで。
 ※一番上にはこのページがきます。

            ◯ ◯

2015.4.22 加瀬邦彦さん亡くなっちゃったんだなぁ。ワイルドワンズ
けっこう好きだった。読書は絲山秋子「離陸」。

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【書評】宮部みゆき「荒神」

◇それぞれの思いを抱え「怪物」に立ち向かっていく人々。
荒神荒神
宮部みゆき

朝日新聞出版 2014-08-20
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 これまで宮部みゆきの時代小説は宮部ワールドの中の時代物、という
感じがしていた。しかし、この「荒神」の前半などは、正統的な時代小
説の趣がある。宮部みゆきはさらにさらにスケールアップしている。

 小説の舞台は東北にある二つの小藩、香山と永津野。敵対する2藩だ
が昔は一つの藩だった。その香山の小さな村が一夜にして壊滅してしま
うところから物語は始まる。村民たちの「逃散」と呼ばれたそれは、実
は「怪物」によるものだった。この騒動から動き出す両藩の人々の動き
を宮部みゆきは巧みに描いていく。香山藩の直弥と達之助の幼なじみ。
蓑吉という生き残りの少年。永津野藩の藩主側近で専横を極める弾正と
その妹・朱音。再び「怪物」が動き出し、それに引きつけられるように
彼らとその周辺の人々が集まって来る。遠い古から連なる因縁や呪詛が
明らかになるにつれて「怪物」の正体も薄ぼんやりと見えてくる。

 いつも書くことだが宮部みゆきの小説はその真ん中に人間がいる。一
人ひとりが持つ強さややさしさ、強欲さや身勝手さ、そして、哀しさ。
そういうものが一つになったその先に「怪物」がいるのだ。彼らはそれ
ぞれの思いを抱えてこの異端のものに立ち向かっていく。舞台を考えれ
ばこれは現代にもつながる人と「怪物」との物語。大いなる希望を感じ
るやさしいラストが素晴らしい。こうの史代が描く表紙もまたいい。
(No.314)

◯宮部みゆきのその他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページがでます。 

            ◯ ◯

2014.1.19 なんだか大変だった校正も終わり、ホッとひと息。でも、
やることがいろいろと…。読書は角田光代「笹の舟で海をわたる」。

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【書評】宮部みゆき「ソロモンの偽証 第2部/第3部」

◇学校内裁判という設定とそのすごさ!
ソロモンの偽証: 第II部 決意
上巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369372
ソロモンの偽証: 第II部 決意
下巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369380
ソロモンの偽証: 第III部 法廷
上巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369399
ソロモンの偽証: 第III部 法廷
下巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369402

 このブログで「ソロモンの偽証」のことをいろいろ書いていたら、2
部と3部の書評を書いてないことに気がついた。何で書かなかったのか
な?内容は覚えていたけれど、ちょっと自信がないところがあったので
再読して、これを書いている。文庫版の最後には「書き下ろし」がある
のだけれど、それは読んでいない。文庫、買おうかどうしようか迷い中。

 2部の最初で主人公の一人、藤野涼子は学校内裁判を始めることを宣
言する。2部は彼女を中心に裁判の準備を進める中学生たちの話だ。判
事や検事、陪審員などが決まり、その中で新たな事実が明るみになり、
それぞれの立場で被告や証人たちとの絆を深めていく。各々をタテ糸ヨ
コ糸にしながら進めていく構成の巧みさはさすが宮部みゆきだ。

 3部はまさにその裁判そのものが描かれるわけだが、この小説の一番
すごいところは「学校内裁判」というある意味ありえない設定を作り出
したところだ。これは本当にスゴいぞ。で、裁判の場面。回想部分もあ
るが、そのほとんどが「法廷」でのやりとりで、これはもう大迫力!!
裁判を通していろいろなことが分かってくるのだが、その中でも被告で
ある大出俊次の人間性が浮き彫りになるところが大きい。この人間の強
さと弱さ。そして、ラスト近くで明らかになる驚くべき真実!

 「その法廷は十四歳の死で始まり偽証で完結した」というのがこの小
説のキャッチフレーズだが、最後の最後にもう一度証言を求めるある証
人の心の叫び。そのすべてを受けて陪審員たちが出す判決が素晴らしい。
「人のことを思いやる」「相手のことを慮る」こと、この長い物語を通
じて、その大切こそが作家の伝えたかったことではなかったのか。この
経験を通して、中学生たちは大人への階段を一歩ずつ登り始めるのだ。

 これは宮部みゆきにとって代表作のひとつに数えられるであろう傑作
だ。文庫化を機に未読の人はぜひ読んでみて欲しい。(No.308)

◯「ソロモンの偽証」いろいろ、その1その2
◯「ソロモンの偽証 第一部」を含む、宮部みゆきのその他の本のレビ
 ューはこちらから。
※一番上にはこのページがでます。 

            ◯ ◯

2014.11.24 3連休最終日。妻は実家に帰ったので愛犬ひなたとお
留守番。読書はジュンパ・ラヒリ「低地」。

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【書評】宮部みゆき「ペテロの葬列」

◇さすが宮部みゆき。構成の巧さ!広がる闇の深さ!
ペテロの葬列ペテロの葬列
宮部 みゆき

集英社 2013-12-20
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  「誰か」「名もなき毒」に続く杉村三郎を主人公にしたシリーズの第
3弾。彼が日本でも名高い今多コンツェルンのムコ殿であることがこの
物語の大きなポイントであることは間違いない(妻は外腹の娘だけど)。
しかも杉村は会長室直属のグループ広報室に勤務している。

 宮部みゆきはさすがに巧い。杉村が乗ったバスがバスジャックにあう
のが発端なのだが、この事件に早々に決着を付け、次に大きく展開して
いく、この辺りの構成が何とも見事だ。あまり詳細を書くとおもしろく
なくなってしまうから書かないが、物語は「悪」の連鎖が起こり、被害
者と加害者の関係が崩れ、大きな闇が広がっていく。その闇の深さ!こ
こにはまさに、人間の愚かさ、悲しさ、おかしさがあり、ネット社会を
含めたこの世の中の危うさがある。 

 ただ、個人的にはここで取り上げられた題材は少し古いような気がし
たし、作者にしては珍しく偶然性が多いストーリーになってるのが残念
だ。リアル、を感じない部分がある。

 さらに、誰もが驚くであろうラスト!作者自身、この主人公を愛しな
がらもどこかで息苦しさを感じていたのかもしれない。これだと当然、
続編があるわけだが、どういうスタイルになるのか、非常に楽しみだ。
(No.273)

◯宮部みゆきのその他の本のレビューはこちらから。 

            ◯ ◯

2014.2.17 雪かきした雪が家の前にたくさん残っている。水曜、木曜に
また雪の予報。やれやれ。五輪はカーリングばかり見てる。読書は越谷オ
サム「陽だまりの彼女」。これおもしろくなるのだろうか?不安。

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巧さ、そして、人間を描いて見事な宮部みゆき「泣き童子」。

泣き童子 三島屋変調百物語参之続泣き童子 三島屋変調百物語参之続
宮部 みゆき

文藝春秋 2013-06-28
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 やっぱり宮部みゆきは巧いなぁ。「三島屋変調百物語」の3巻目にあ
たるこの「泣き童子(わらし)」では、特に構成の妙が光っている。全
体は6つの物語に分かれているが、最初の「魂取の池」は導入的な軽い
怪談話。この話の中で、作者は主人公が百物語の聞き手になったいきさ
つをサッと紹介し、おなじみの登場人物たちと読者を再会させる。その
手際のいいこと。こういうこまやかな気配りが宮部みゆきなのだ。

 2つめの「くりから御殿」もわりあい軽め。そして、表題作の「泣き
童子」、これと、ちょっと趣向を変えた「小雪舞う日の怪談語り」をは
さんだ5作目の「まぐる笛」がこの小説のハイライトだ。

 不思議な力を持つ赤ん坊がもたらす災いとそれに翻弄され、自らを見
失ってしまう人間を描いて見事な「泣き童子」。「まぐる笛」には、”ま
ぐる”という、巨大な獣が登場する。数十年に一度、人里に現れる凶暴な
生きものとその化け物から生き延びるため代々受け継がれてきた人間た
ちの知恵。実は2話目の「くりから御殿」には山津波が出てくる。大震
災後に書かれたこの物語には、作者の強い思いを感じる。人間の意志で
はどうにもならないもの…それに対して、私たちはどう立ち向かってい
けばいいのか。
 
 いつも言うことだが、宮部みゆきの物語の中心は常に「人間」だ。怪
異や物の怪を描いても、そこには愚かさや弱さを含んだ人間たちがいる。
明日に向かって今日という日をなんとか生きている男や女がいる。この
物語もまた、そんな人間を描いて見事な物語である。(No.255)

◯宮部みゆきのその他の本のレビューはこちらから。         

       ◯ ◯

2013.9.16 台風、いろんな場所で被害が出てるようですが皆さんの所
は大丈夫でしょうか? 読書は馳星周「ソウルメイト」。

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自殺か?他殺か?宮部みゆき「ソロモンの偽証 第1部」。

ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
宮部 みゆき

新潮社 2012-08-23
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 事件は1990年冬、東京下町の中学校で起こった。中2の柏木卓也と
いう男子生徒の死体が校庭で発見されたのだ。バブルの時代という設定
がうまい。人々はどこか浮き足立ち、格差が広がり、その喧噪の中で何
かが失われていく、そんな時代。3部作の第1部で描かれたのは、ひと
つの死によって生まれた周囲の人々の「心の波紋」だ。優等生の藤野涼
子をはじめとする同級生たち、担任の森内恵美子、死んだ卓也の兄宏之。
彼らは卓也の死によって、自らの心をその奥底までのぞきこまなくては
ならなくなる。そして、気づくのだ。自分の思いがけない考え、思いが
けない一面に。作者は彼らの微妙な心の変化を一人一人こまやかに描い
ていく。これこそが宮部みゆき!そして、これこそが1部いちばんの読
みどころだ。

 一時は他殺説まで出たその死は結局、自殺ということに落ち着く。し
かし、年明けに届いた匿名の告発状によって事態は一変する。内々に片
付けようとする学校、いつの間にか事件を嗅ぎつけたマスコミ、そして、
もう一人の死者。連鎖して起こる様々な出来事がさらなる混乱を引き起
こす。1部ラストの藤野涼子のある決意。その潔い決意が読む者にも勇
気を与えてくれる。

 僕らはこの小説に対してすでに幾つかのことを知っている。「ソロモ
ンの偽証」というタイトル。そして「その法廷は十四歳の死で始まり偽
証で完結した」というキャッチフレーズ。この大団円に向かって物語は
どう動くのか。2部、3部へと大きく期待はふくらむ。(No.215)

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◎「ソロモンの偽証 第1部」は2014年8月28日、上下2巻で
 新潮文庫から文庫化されました。
ソロモンの偽証: 第I部 事件
上巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369356
ソロモンの偽証: 第I部 事件
下巻 (新潮文庫)

宮部 みゆき
4101369364

               ◯ ◯

2012.10.3 暑かったり、寒かったり、雨だったり。なんだかわからん
な今年の天気。読書は原田マハ「楽園のカンヴァス」、いいねぇ。

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至福の読書とはこの物語、宮部みゆき「おまえさん」。






おまえさん(上) (講談社文庫)
宮部 みゆき
4062770725
おまえさん(下) (講談社文庫)
宮部 みゆき
4062770733

 「ぼんくら」「日暮らし」に続くシリーズ3作目。予定より大幅に遅
れ昨秋7年ぶりに出版された。宮部みゆきは巧い、とこのブログでもい
つも言っているが、これもまたさすがだ。例えば、導入部。江戸を舞台
にしたこの時代ミステリー、登場人物が多い。久々だから読者は一人ひ
とりの記憶が曖昧になっている。作者はそのことをちゃんと意識し「ほ
ら、この人、覚えてる?」という感じで、彼らを登場させるのだ。とて
もとても自然に!やはりこの人、巧いのである。

 さて、物語。殺人事件が続けて起こり、犯人は同一人物だと分かる。
上巻は本所深川の同心である平四郎を中心に、いつもの面々が登場。主
人が殺された薬屋の瓶屋周辺で物語が進んでいく。絡まっていた糸はし
だいに解きほぐされていくのだが、なかなか犯人にまでたどり着かない。
いったい誰が何の目的で2人を殺したのか。そんな折も折、3つ目の殺
人事件が起こり、謎はさらに深まっていく。

 そして、下巻の冒頭、おつむりの出来が違う弓之助少年が見事に謎を
解いていく。犯人もズバリ言い当てる。関係者一同が会して行なわれる
この謎解きの場面は上下巻を通じてのハイライトだ。とはいえ、下巻は
始まったばかり……。ということはもう一つ違う事件が起こるのか?と
思ったら、そうではなかった。事件はさらに泥沼化していき…。

 「おまえさん」は、ひと言で言えば男と女の話だ。事件の核心はもち
ろんのこと、いたるところで男女の恋模様が繰り広げられる。しかし、
宮部みゆきはそれを恋の話にはしない。行きつく先は「人間」なのだ。
人を好きになることで、いつの間にか自分を見失ってしまう「人間」の
愚かさ哀れさを彼女は描いていく。とはいえ、宮部の人を見つめる目は
いつも優しい。日々を懸命に生きている市井の人々への愛に満ち満ちて
いる。だからこそ、読む者は彼女の物語に、生きる希望を感じるのだ。
至福の読書とはこういうものじゃないのか。新しいキャラクターも魅力
的でさらに読編が楽しみである。(No.205)

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               ◯ ◯

2012.7.25 ううむ、オリンピックが近い。問題は10時半には寝て、5
時半には起きるこのライフスタイル。大いに乱れること間違いなし。ま
ずいなぁ。読書は赤坂英一「2番打者論」。

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着ぐるみの中から彼女が見たのは?表題作が特にいい「チヨ子」。

チヨ子 (光文社文庫)チヨ子 (光文社文庫)
宮部 みゆき

光文社 2011-07-12
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 宮部みゆきの小説は長編はもちろんだが、短篇でも「なんだ、つまら
ん」と思うような駄作がない。現代作家の中でも一番の「安心印」作家
ではないか。超常現象的な事をテーマにした短篇・中編5作を集めたこ
の作品集、文庫の裏には「いきなり文庫化した贅沢な一冊」とあるが、
単行本化からこぼれ落ちちゃった今イチ作品を集めたのでは?、という
心配がなかったわけではない。しかし、これは杞憂。どれも確実におも
しろかった。

 特に好きなのは表題作「チヨ子」だ。アルバイト先のスーパーでピン
ク色のウサギの着ぐるみを着なければならなくなった「わたし」。イヤ
イヤ着てみると…アレレレレ!見える世界が何だかヘン。慌てて頭を脱
ぎ捨てると…元の世界です。彼女はいったい何を見たのか。その後に起
こる中学生の万引き事件を通して「わたし」が知った真実とは?いやい
やいや、うまいなぁ、宮部みゆき!こういう話を短篇としてサラッと書
けるのが彼女のスゴいところだ。ラストの「聖痕」はかなりのボリュー
ムで、しかも、問題作。ここまで踏み込んで書くのかと驚いた。初出も
2010年7月と新しく、解説の大森望さんによる著者インタビューで宮部
さんは、この小説を書いた事で「やっぱりSFもやりたいという気持ちが
また出てきました」とコメントしている。おぉぉぉぉ。というわけで、
宮部SFのファンにも必読の一冊と言えそうだ。 (No.168)

               ◯ ◯

2011.8.16 今週末でこの暑さ、終わってね。当たらない天気予報、当
たってね。こうの史代「この世界の片隅に」を読み出した。そのあとは
豊崎由美「ニッポンの書評」になる、かな。

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「機微」を描く作家宮部みゆき、「あやし」もまた極上。

あやし (角川文庫)あやし (角川文庫)
宮部 みゆき

角川書店 2003-04
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 さて、久々に新刊以外の本を。文庫にもなっている宮部みゆき「あや
し」だ。彼女の小説は大好きでほとんど読んでいる。写真を見ると、な
んだか下町のおきゃんなねーちゃんって感じだが(ま、実際そうなのだ
が)、とにかくこの人の小説は構成力、文章力、発想、すべてにおいて
群を抜いている。ミステリー、SF、時代小説と何でも手がけるが超能
力者のことを書いても、捕り物控を書いても、宮部みゆきの小説の根底
にあるのは「機微(きび)」という言葉だと僕は思う。人生の機微、男
女の機微、人情の機微、人と人との関係の中で見え隠れする心の動きを
鮮やかに描き出すことにかけて、この人の右に出るものはいない。

 この「あやし」も、奇談小説とかホラー短編集とか、惹句に惹かれて
読むと、ちょっとはずしてしまうかもしれない。これもまた、ただ怖い
だけの話ではないのだ。ま、恐いけれど、恐怖の質がちょっと違う。鬼
とか物の怪とかそういう異形のものが確かに登場するが、宮部が見てい
るのはいつも「人間」なのだ。人間の心の奥底にひそむもの、それこそ
が恐怖であり、図り知ることのできない「不思議」なのだ。「布団部屋」
「安達家の鬼」「時雨鬼」と傑作揃いだが、どれもが心にしっかりと残
る。忘れられないのは「人の話」だからに違いない。(No.162)

               ◯ ◯

2011.7.8 bk1の「今週のオススメ書評」に伊集院静の「いねむり先生」
が選ばれました。今年の年間ベスト級と言ってちゃってるのでうれしい。
オススメ書評のページはコチラ(来週木曜日まで)。このブログでの紹介
コチラです。それにしても蒸し暑いなぁ。


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★宮部みゆき「日暮らし」、時代ミステリーはやっぱりこの人!

日暮らし(上) (講談社文庫)日暮らし(上) (講談社文庫)
宮部 みゆき

講談社 2008-11-14
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 これは大好評だった「ぼんくら」の続編。単行本も上下2巻でかなり
分厚いのだけど、文庫は上中下の3巻。ちょっとビビるがおもしろいか
らスラスラ読めちゃう。それにしても、宮部みゆきはうめぇ~なぁ。

 なにがうまいって、まずは人物の造形。本所深川のぼんくら同心・平
四郎、彼の甥で超美形少年の弓之助、記憶力抜群のおでここと三太郎な
ど主役級の人物はもちろんのこと、煮物屋のお徳や植木職人の佐吉など
ワキの重要人物から殺人事件の被害者、犯人に至るまで、本当にキャラ
が立っている。そして、構成の巧みさ。多彩な登場人物をこまやかに書
き分けてドラマを動かす。時には寄り道しながら、時にはぴょんとワー
プまでしてみせて。その手腕は素晴らしい。さらにいえば、人間ドラマ
としての奥深さ。様々な要素が絡み合い、迷宮のような様相を呈しなが
らも、最後は「ここ!」って場所にピタリと着地する。人間の業、生き
るということ、暮らすということ、その核心にぐぐっと迫る。その他に
も描写の的確さ、セリフのおもしろさなど言い出したらきりがない。宮
部みゆき畢竟の時代ミステリー。もちろん「ぼんくら」を先に読む方が
いい。これも文庫で上下2巻、いや、全部読んでもアッという間、お正
月に本を読むなら、こんなのいいと思うぞ。(No.119)

ぼんくら(上) (講談社文庫)ぼんくら(上) (講談社文庫)
宮部 みゆき

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               ◯ ◯

2010.12.13 今日の東京地方は雨。雨だと犬の散歩がお休みなので時
間にゆとりがある。いつも1時間半ぐらい散歩してるから。そういえば
「本の雑誌」新年号からクロスレビューが始まってた。ふむふむふむ。


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