米村圭伍 no.54        

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軽妙洒脱な大江戸喜劇、米村圭伍の『風流冷飯伝』。

舞台は四国風見藩、男は城を左回り、女は城を右回り???

風流冷飯伝 (新潮文庫)風流冷飯伝 (新潮文庫)

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 時代小説はそれほど読まない。司馬遼太郎などのいわゆる「歴史小
説」は大体、挫折。好きなのは池波正太郎と隆慶一郎、この2人はま
だまだ未読本も多いのでこれからさらに楽しめそうだ。さて、米村圭
伍の『風流冷飯伝』である。これは僕好みのエンタメ時代小説、しか
もユーモアあふれる大快作、大娯楽作だ。

 時は宝暦十四年、十代将軍家治の治世。所は四国讃岐の風見藩。も
ちろん、これは架空の藩なのだが、ここがとんでもない所。先々代藩
主の定めとかで、男は城を左回りに、女は城を右回りに回らなくちゃ
ならない。好きな女の後も追えなければ、目的の場所がすぐそこでも、
回りが逆なら城を一周しなければならない。そんなアホな!さらに、
武士は頬かむりをしてはいかんとか、家長と長男は囲碁・将棋を嗜ん
ではいかんとかヘンな決まりがいろいろある。

 そんな変わった場所に、江戸吉原の調子のいい幇間(たいこ持ち)
がやってきたから、さぁ大変。ピンクの羽織なんぞを引っ掛けヒマを
持て余してる冷飯共(武家の次男、三男のこと)と仲良くなり、大騒
動を巻き起こす。一八という名のこの幇間、実は別の顔があって…。
というわけで、最後は、藩の命運を担う一大事に加担することになり
田沼意次が待つ江戸へ。驚き?の大団円へと突き進むのだ。

 とにかく、この小説、軽妙洒脱な文章がいい。軽いけど、お気軽じ
ゃないところもうれしい。しかも、米村圭伍は文章が巧い。結末が気
になって、先へ先へと読まずにはいられない。これは「退屈姫君伝」
「面影小町伝」と続くゆるやかな三部作の第1作。このシリーズ、テ
レビドラマにも映画にもなると思うのだが。どこかでやらないかなぁ。

退屈姫君伝 (新潮文庫)
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