■や行の作家 no.76        

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【書評】吉田修一「橋を渡る」

◇今日のあなたのその選択が、未来を変えるかもしれない…。
橋を渡る橋を渡る
吉田 修一

文藝春秋 2016-03-19
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 吉田修一は「悪人」と「さよなら渓谷」しか読んだことがない。どち
らもリアルな「愛」の物語だ。だからこの小説にはぶっ飛んだ。そうか、
吉田修一ってこういう小説も書くのだな。それにしても、これはスゴい
物語である。

 春、夏、秋、冬の4部構成。春夏秋はそれぞれ主人公が違う。ビール
会社に勤める明良、彼の家には謎の贈り物が届く。都議会議員の妻篤子、
彼女は夫が議会でヘンなヤジを飛ばしたのではないかと疑っている。テ
レビ局のディレクター謙一郎は婚約者の行動に不審を抱く。2014年に
生きる3人。ワールドカップ、都議会のヤジ事件、香港の雨傘革命など
リアルなニュースを取り込みながら物語は冬の部へとなだれこむ。

 冬の部はなんと70年後の未来。響という青年、凛という女性、「サ
イン」と呼ばれる彼らの正体は…?混乱しながら読む進むと、前3部の
孫にあたる人間などが出て来て少しずつ物語の全容と作者の思いが見え
てくる。

 今、現在、起こっている社会的な出来事、一人ひとりの日常に起こる
些細な出来事やそこでの選択、そのひとつひとつが明日につながってい
て「未来」を形作っていく。当たり前のようだけれどそれを自覚してい
る人間は少ない。作者はその「つながり」を彼なりの方法で描いている。
70年後の未来を生きる響と凛、70年前から未来にやってきたある男、
彼らの人生が交錯する最終章に強く心を打たれる。(No.359)

◯吉田修一の他の本のレビューはこちらから。
※一番上にはこのページが出ます。 

            ◯ ◯

2016.5.18 若冲展、今日はシルバー無料デイで11時ぐらいに320分待
ち、現在でも170分待ち。やれやれ。会期末も近くこれからどうなるの
だろう?読書は原田マハ「暗幕のゲルニカ」。

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【書評】山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」

◇彼女らの様々な退屈、様々な焦り、様々な平凡を描いて見事。
ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)
山内 マリコ

幻冬舎 2014-04-10
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 一昨年の話題作。文庫になったのでやっと読んだ。8つの物語からな
る連作短編集。これがデビュー作なんだからなぁ…。達者というか、い
やいやスゴい。いいなぁ、こんなに書けて。

 舞台は本当にどこでもあるような地方都市。バイパスを走れば、ブッ
クオフやしまむらや洋服の青山があるような、田舎というほど田舎では
ない場所。その中途半端さが拍車をかけるのか、そこで暮らすガールズ
たちは心穏やかではない。

 10年東京に住んで地元に戻りライターの仕事をする30歳、ティー
ン向けファッション誌の人気モデルだったがひっそりと引退し、地元の
スタバで働く27歳、交換留学生と仲良くなりアメリカ人だったらと夢
想する大学生、バージンを捨てることに奔走する高校生たち…。彼女ら
には、そこでの居場所がなかなか見つからない。東京のような大都市と
違いのんびりしているし、それなりにいろんなものは揃っているのだが、
やっぱりなんだか「退屈」なのだ。彼女たちの様々な退屈、様々な焦り、
様々な平凡が描き出されてこの短編集は見事だ。

 同じ経験を持ち、同じ気持でいる人間はたくさんいると思うので、そ
んな人々にとってはこの小説は間違いなくグサッと心に刺さるだろう。
全編を通して登場する椎名という男が彼女たちとは対照的に描かれてい
ておもしろい。椎名はこの街でフツーに楽しそうに生きているのだ。こ
の小説、現代の話から過去の話へと時代を遡っていく。この構成もまた
効果的。山内マリコ、新作も出てたなぁ、読まなくちゃ!(No.298)
       
            ◯ ◯

2014.9.10 錦織、決勝は残念だったけれどパチパチパチ。サッカーに
も少し希望が。読書は辻村深月「島はぼくらと」がもう少し。

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【書評】山本文緒「なぎさ」

◇この世の中をとまどいながら生きているすべての人へ。
なぎさ (単行本)なぎさ (単行本)
山本 文緒

角川書店 2013-10-19
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 冒頭、主人公の一人である冬乃が故郷を出て海辺の町へ行く「思い」を
語る。「森をつくる一本の樹だった私たちは、せっかく張った根を引き千
切るようにして長野県を出た」、読み進めながらもこの言葉が心に突き刺
さったように忘れられずにいた。それほどまでの思いで故郷を捨てなくて
はならなかった理由は何なのだろう?

 登場人物は多彩だ。冬乃とその妹の菫(すみれ)、ブラック企業に勤め
る冬乃の夫・佐々井とその部下・山崎君、菫の怪しい知人モリ。ワキの人
物たちもなかなかいい。冬乃と菫がカフェを始める話や山崎君のブラック
企業での話が物語の軸になるのだが、それよりも登場人物一人ひとりのこ
とが気にかかる。各々が各々の立場でいろいろなモヤモヤを抱え生きてい
る。幸せとか不幸とかさえ考えられず、生きることに精一杯な人間たち!

 全体的にこの小説はタラ〜っとしてる、何かにググっと収斂したりしな
い。そこがいい。小説家は人を描きたがっている。彼らの心に寄り添い、
その思いを僕らにしっかりと伝えてくれる。だからこそ、余韻は深い。

 最初に書いた冬乃の思い、その理由はラスト近くになって語られる。人
の中に人が巣食うという苦悩…。冬乃と川崎君、それでも生きていく、と
いう思いを感じるそれぞれのラストが強く心に残る。この世の中をとまど
いながら生きている人たちにぜひ勧めたい小説だ。(No.292)
       
            ◯ ◯

2014.7.19 イマイチはっきりしない天気が続く。愛犬は雷が鳴るとひど
く怖がる。読書、窪美澄ほかの「きみのために棘を生やすの」。

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【書評】吉田修一「さよなら渓谷」

◇その過去があったからこそ、2人は互いを必要とした。
さよなら渓谷 (新潮文庫)さよなら渓谷 (新潮文庫)
吉田 修一

新潮社 2010-11
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 これはすごい小説だ。しかし、紹介するのが難しい。これから読む人の
ことを考えると一番核心の部分に触れるべきかどうか非常に迷う。でも、
映画の予告編ではこのことに触れていたしなぁ。新刊ならば、たぶん書か
ないのだけど、ここでは「それ」をあえて書くことにする。

 この小説、書き出しが巧い。桂川渓谷という緑豊かな土地で起こった幼
児殺人事件。実の母である里美に疑いがかかる。その静かな町にレポータ
ーたちが押し寄せる。しかし、この物語の主人公は彼女ではない。隣家の
夫婦、尾崎俊介とかなこ、「さよなら渓谷」はこの2人の物語だ。

 2人の間には、数十年前、ある事件があった。その事件を経て、彼らは
今、共に暮らしている。幼児殺人を取材に来ていた山崎という男が、偶然
にも「そのこと」に気がつき、すべてを知ることになる。この山崎という
男の存在もこの物語ではとても大きい。

 2人は共に、忘れることのできない過去を背負って生きてきた。かなこ
は誰からも許されない。俊介はまわりの男たちから簡単に許された。許さ
れたい女と許されないことを望む男、だからこそ、というか、だから、彼
らは互いを必要としたのだ。その悲しさ、その絶望!これを究極の愛など
とは言えない。ただただ、この物語を書いた吉田修一をすごいと思うばか
りだ。まさに、作者渾身の一冊。深い余韻を残すラストに心を打たれた。
(No.283)

◯吉田修一のその他の本のレビューはこちらから。 

            ◯ ◯

2014.4.30 今日、東京は雨。あ、4月ももう終わりだ。読書は朝井リョ
ウの「スペードの3」がもうすぐ終わりそう。次は村上春樹の新作、かな。

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人生の途中で重荷を背負った人に。山田太一「空也上人がいた」。

空也上人がいた (朝日新聞出版特別書き下ろし作品)空也上人がいた (朝日新聞出版特別書き下ろし作品)
山田太一

朝日新聞出版 2011-04-07
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 150ページぐらいの短い小説だ。一度このブログでも書いたが、脚本
家である山田太一の小説は風変わりな設定が多い。だからこそ、読む側
はグググッと前のめりになる。しかも、そこに鋭いアッパーカットが!
効くのである。さて、今回の小説、作者は裏表紙でこんなことを書いて
いる。「もう願い事もいくらも果せない齢になり、あと一つだけ小説を
書いておきたかった。二十代の青年が語る七十代にならなければ書けな
かった物語である」。山田太一76歳、そうか、実際にはどうなるかわか
らないが、これが最後の小説か。

 さて、「空也上人がいた」である。タイトルだけ見ると時代小説とさ
え思えるがそうではない。空也上人は確かに出て来る。重要な役割だが、
出番はそれほど多くない。特養老人ホームのヘルパーだった27歳の草介
はある事故がきっかけでホームをやめる。心配した女性ケアマネージャ
ー重光が新しい仕事を持って来る。吉崎という82歳の男性の在宅介護だ。
山田太一らしい予想外の展開がここから始まる。吉崎は草介に京都に行
けと言う。六波羅蜜寺に行って、木彫りの空也上人を見て来いと言う。
ほら、口から小さな仏像を出しているあの空也上人の立像だ。吉崎の意
図は?それを見た草介の反応は?

 人生の途中でなんらかの重荷を背負ってしまった人間がいる。この物
語に登場する3人は軽重の差はあるがそういう人々だ。彼らに必要なも
のはいったい何なのか?その答えがここにはあるような気がする。46歳
の重光さんを真ん中にこの3人の間には「恋のようなもの」も垣間見え
る。その恋の行方は?交錯する思いの果てにたどりつくのは?ラストが
圧倒的。これは山田太一がたどり着いたある境地だ。少し驚きながらも、
それを受け入れている自分がいる。さて、あなたはどうだ?(No.153)

◎「空也上人がいた」は2014年4月8日、朝日文庫で文庫化されました。
空也上人がいた (朝日文庫)
山田太一
4022647418

               ◯ ◯

2011.5.22 読書は「いねむり先生」を終えて、佐藤泰志「きみの鳥は
うたえる」に。昨日今日となんだか夏のような陽気。

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何よりも2人の愛の強さに惹かれる!吉田修一の「悪人」。






悪人(上) (朝日文庫)悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一

朝日新聞出版 2009-11-06
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悪人(下) (朝日文庫)悪人(下) (朝日文庫)
吉田 修一

朝日新聞出版 2009-11-06
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 映画も好評の「悪人」を読む。とにかく、これ、読後感が圧倒的!究
極のラブストーリーと呼びたい傑作小説だ。祐一と光代は携帯の出会い
系サイトを通じて出会った。遊びではなく、彼らは互いに自分を必要と
する異性を強く強く求めていたのだ。そして、激しく惹かれ合った。彼
らが出会うのは実は第三章、すでに3分の1を過ぎてからだ。第一章で
語られるのは、福岡と佐賀の県境で起こった女性の殺人事件について。
被害者石橋佳乃のこと、その両親のこと、容疑者の男たちのこと。祐一
は佳乃とも出会い系を通じて知り合い、殺人が起こった夜、彼女と会っ
ている。第二章では祐一のこと、その生い立ち、彼を育てた祖母のこと
などが語られる。そう、祐一と光代は「事件」のあとで出会うのだ。
の出会い以降、物語はグンと熱を帯びてくる
。付き合い始めて、彼らが
周囲に見せる「幸せそうな顔」、その描写が心に残る。そして祐一は光
代に事件の真相を語る…。「俺、もっと早う光代に会っとればよかった」
「ここで祐一と別れたら、私にはもう何もないたい」、どうにも離れら
れない2人の逃避行が始まる。

 確かにこの愛は刹那的なのかもしれない。それでも、2人は激しく求
め合っている。この愛の強さに僕は何よりも惹かれる
。「今の世の中、
大切な人もおらん人間が多すぎったい」と娘を殺された父親はつぶやく、
「これまで必死に生きてきたとぞ」と祐一の祖母は叫ぶ。話の終盤で2
人の老人が吐き出すこれらの言葉はこの物語を俯瞰するような強い思い
が込められている


 少し古めかしいようなスタイルと全編九州弁で語られる言葉が物語を
際立たせる。タイトルを「悪人」としたことで、誰もが悪人であるとい
うような意図を作者が持っているようにも思うが、その点は自分はまっ
たく感応しない。ただただこの愛の姿に心を打たれるのだ。(No.117)

               ◯ ◯

2010.12.7 今、読んでるのは朝井リョウの「チア男子!!」、前半はち
ょっとイライラ。次はジェフリー・ディーヴァーの「ロードサイド・ク
ロス」の予定。あ、8時から海老蔵の会見だって。

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魂の自由度を測るような小説、山田詠美「無銭優雅」。

42歳の男女が繰り広げる高校生のような恋、さて、結末は?

無銭優雅 (幻冬舎文庫)無銭優雅 (幻冬舎文庫)
山田 詠美

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 これはまさに魂の自由度を測るような小説である。「心中する前の日
の心持ちでつき合って行かないか?」なんてバカ言って、慈雨と栄、42
歳同士のカップルが誕生する。この恋が自由奔放というか、高校生みた
な恋で、本当におかしい。人によっては「こんな42歳、ないでしょ?」
とか「ほ~んとしょーもないやつら!」などと思うだろうが、人間、42
歳でもこんなもの。いや、50歳でも60歳でもこんなものなのである。た
だ、常識だとか社会だとか、なんだかんだの鎧を着てる人には、こうい
う「けーはくカップル」は理解し難い、というか、理解したくないのだ。
となると、この小説も「くだらねぇ~~」、ってことになるのかも。

 さて、山田詠美、である。何もかもわかってるこの作者は、わかって
ることをいいことにはねる、はねる、はねる!魂もとんじゃってるし、
文章もとんじゃってる!調子に乗ってちょっと筆が滑ってるベタなとこ
ろもあるけれど、それもご愛嬌!!そして、ラスト。いろいろあってもや
っぱりこの2人は、42歳のバカップル(古い!)。なんともググッと
来る結末が待っている。舞台は西荻、そして、吉祥寺。恋は中央線でし
ろ!だって。魂がすっきりしゃっきりしてくるような快作。さて、あな
たの魂の自由度は??(No.80)

               ◯ ◯

2010.8.27 僕はもう四半世紀ぐらいフリーのコピーライターなのだけ
ど、フリーったってフリーじゃない。特に仕事が少ない時はすご~~く
フリーじゃない、と感じたりするのだ。

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軽妙洒脱な大江戸喜劇、米村圭伍の『風流冷飯伝』。

舞台は四国風見藩、男は城を左回り、女は城を右回り???

風流冷飯伝 (新潮文庫)風流冷飯伝 (新潮文庫)

新潮社 2002-03
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 時代小説はそれほど読まない。司馬遼太郎などのいわゆる「歴史小
説」は大体、挫折。好きなのは池波正太郎と隆慶一郎、この2人はま
だまだ未読本も多いのでこれからさらに楽しめそうだ。さて、米村圭
伍の『風流冷飯伝』である。これは僕好みのエンタメ時代小説、しか
もユーモアあふれる大快作、大娯楽作だ。

 時は宝暦十四年、十代将軍家治の治世。所は四国讃岐の風見藩。も
ちろん、これは架空の藩なのだが、ここがとんでもない所。先々代藩
主の定めとかで、男は城を左回りに、女は城を右回りに回らなくちゃ
ならない。好きな女の後も追えなければ、目的の場所がすぐそこでも、
回りが逆なら城を一周しなければならない。そんなアホな!さらに、
武士は頬かむりをしてはいかんとか、家長と長男は囲碁・将棋を嗜ん
ではいかんとかヘンな決まりがいろいろある。

 そんな変わった場所に、江戸吉原の調子のいい幇間(たいこ持ち)
がやってきたから、さぁ大変。ピンクの羽織なんぞを引っ掛けヒマを
持て余してる冷飯共(武家の次男、三男のこと)と仲良くなり、大騒
動を巻き起こす。一八という名のこの幇間、実は別の顔があって…。
というわけで、最後は、藩の命運を担う一大事に加担することになり
田沼意次が待つ江戸へ。驚き?の大団円へと突き進むのだ。

 とにかく、この小説、軽妙洒脱な文章がいい。軽いけど、お気軽じ
ゃないところもうれしい。しかも、米村圭伍は文章が巧い。結末が気
になって、先へ先へと読まずにはいられない。これは「退屈姫君伝」
「面影小町伝」と続くゆるやかな三部作の第1作。このシリーズ、テ
レビドラマにも映画にもなると思うのだが。どこかでやらないかなぁ。

退屈姫君伝 (新潮文庫)
4101265321
面影小町伝 (新潮文庫)
410126533X

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いつもワクワクする山田太一の小説ワールド!

奇妙な設定の中で鮮やかに浮かび上がるテーマ。
 土曜日は山田太一ドラマスペシャル「遠まわりの雨」があった。僕自
身、もちろん脚本家山田太一は好きだが、小説家山田太一とその作品は
さらに好きだ。彼の小説ワールドはなんといっても設定が面白い。処女
長篇「飛ぶ夢をしばらく見ない」は出現するたびに若返っていく女の話
だし、映画にもなった「異人たちとの夏」は幼い頃死別した父母(いわ
ば異界の人)と主人公との再会の話。「君を見上げて」は大女と小男の
恋物語、「丘の上の向日葵」は見知らぬ美女からわが子の存在を告げら
れる男の話だ。そんな奇妙な設定なので、僕らはグッと前のめりになっ
て読む。だからこそ、作者からのパンチがガツンと効く!彼が伝えたい
テーマは愛であり、性であり、家族である。セリフのうまさ、構成の巧
みさは脚本同様。はまっちゃったらなかなか抜けられない、それが山田
太一の小説ワールド。まだの人はぜひ!そろそろ新作も読みたいぞ。

異人たちとの夏 (新潮文庫)
4101018162

アマゾンを見てみると「異人たちとの夏」をのぞくと新品で出ているも
のはほとんどないようだ。なんだかなぁ。

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「欲望の愛弟子」になろうとした少年少女の物語「学問」

4人は自らの欲望に忠実に生きようとした!
 「欲望の作家」と言っても過言ではない山田詠美、これは去年の話題
作だが、内容も知らずに読み始めたので、最初はかなり戸惑った。この
小説、静岡のちょっと田舎が舞台。地元の子供たちは「熱あるんだら」
とか「しちゃ駄目だに」とか遠州弁をしゃべる。どうもこういう田舎の
子供を主人公にした小説が苦手なのでどうしたものかと思ったが、作家
は山田詠美である。これがただの小説ではないことは「学問」というタ
イトルだけでもわかる。「学問」?この内容で「学問」?そんな興味か
ら読み進めていくとそこにはやはり山田詠美の世界があった。

 リーダー的素養に恵まれた心太、東京からやって来た転校生の仁美、
食べることに目がない無量、そして、寝ることが大好きな千穂。この4
人がお互いを通して様々なことを学び成長していく。その過程がおもし
ろい。これは女性の側から書かれた非常に珍しいイタ・セクスアリスと
いうことも出来るが、主人公の4人は性欲はもちろん食欲や知識欲など
も含めた「欲望の愛弟子」になろうとした少年少女なのだ。

 手探りながらも性を自分の元にたぐり寄せていく仁美と貧しい家に生
まれながらも貪欲に知識を吸収していく心太のエピソードが強く心に残
る。各章の最初に各人の死亡記事が載っている。それぞれの死を明らか
にすることで彼らの生がくっきりと浮かび上がる構成が見事だ。

学問
410366813X


◎「学問」は2012年2月27日、新潮文庫で文庫化されました。
学問 (新潮文庫)
山田 詠美
4101036268



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吉祥寺にいるようだ。
そんなに若くはないようだ。
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