森絵都 no.92        

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うまいっ!少女の成長を描いた森絵都「永遠の出口」。

構成から心理描写、背景描写まですべてにおいて長けた青春小説。

永遠の出口 (集英社文庫(日本))永遠の出口 (集英社文庫(日本))
森 絵都

集英社 2006-02-17
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 「永遠の出口」、小学校三年から高校卒業まで逡巡しながら成長して
いく紀子という一人の少女を描いた連作小説だ。作者の森絵都はこの小
説を2003年に発表するまで、長年の間、児童文学で活躍していた人だ
けあって、構成から心理描写、背景描写まですべてにおいて長けている。
青春を描くことはけっしてやさしいことではない。ヘンに感情移入する
とウソっぽくなるし、実際にはテレビドラマのような出来事は起こらな
い。日常のディテールをしっかりと描かないと確実に絵空事になってし
まい、主人公の気持ちもきちんと伝わらないのだ。しかし、この作者な
ら大丈夫。「永遠の出口」でもストーリーを非常に丹念に描いているし、
主人公はじめその友だち、家族のキャラもしっかりと立っている。少し
だけ作った感じがあるけれど気になるほどではない。

 この小説で描かれている、同級生との諍い、和解、初めての恋、家族
とのあれこれを読んでると、自分の小学生時代、中学、高校時代のいろ
いろなことが蘇ってくる。それだけこの物語はリアルなのだ。作者は68
年生まれで背景として70年代、80年代の風俗等も描かれているのだけど
そのあたりもなかなかいい。この後、「風に舞い上がるビニールシート」
で直木賞も受賞した森絵都の記念碑的な一冊。青春のただ中にいる人か
らそんな子供の親世代までぜひ読んで欲しい傑作小説だ。(No.76)

               ◯ ◯

2010.8.20 昨日、今日とちょっと涼しい日が続き一息つく。昨日は目
黒の東京都庭園美術館で「有元利夫展 天空の音楽」を見る。これはい
いですよ。見たことない作品もけっこうあった。短いながらも至福の時。

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