上橋菜穂子 no.93        

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【書評】上橋菜穂子「鹿の王」

◇2人の男を通して描かれる、力強い生命の物語。
鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
上橋 菜穂子
4041018889
鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐
上橋 菜穂子
4041018897

 今年の本屋大賞受賞作。作者の志の高さを強く感じる物語だ。「鹿の
王」は単なるファンタジーではなく、医療ミステリーであり、冒険小説
であり、人間小説でもある。

 舞台は大帝国・東乎瑠(ツオル)に征服されたアカファ領。そこには
元々の住民、東乎瑠からの移住民、さらには「火馬の民」などの辺境の
民がいる。それぞれの思惑が絡み合い、それはまるでこの世界の紛争地
の縮図のようにも思える。そして、主人公の2人。1人は「欠け角のヴ
ァン」。妻と子を亡くし、絶望から死に場所を求めていた戦士団「独角」
の頭。もう1人は高度なオタワル医療を受け継ぐ医術師ホッサル。犬の
群れの襲撃から起こった病でなぜか生き残ったヴァンがもう1人の生き
残り幼子ユナと逃亡の旅に出る。ここから物語が動き出す。彼らを待っ
ているのは…黒狼熱、犬の王、沼地の民…。そして、2人を追うサエと
いう後追い狩人の娘の存在。

 犬に噛まれたことでその身体に異変をきたしたヴァン、病の治療法を
なんとか見つけ出そうとするホッサル。2人の存在とその在りようはこ
の物語の中でも際立っている。ウイルスの話が人間世界とシンクロし、
さらに深遠な物語世界を造り出す。圧巻なのは下巻の半ば辺りから。病
のこと、命のことを主人公たちが語る長い場面、そして、驚きの謎解き
とヴァンの決断!

 絶望の縁にいて、もう生きていたくないと思っていた男が最後にとっ
たこの行動は、読むものの心を強く打つ。それはまさに、作者が放つ生
命に対する力強いメッセージだ。「生命」そのものを描いて、これは忘
れることができない物語になった。(No.322)

◯上橋菜穂子のその他の本の書評はこちらから。
※一番上にはこのページがでます。 

            ◯ ◯

2015.4.17 ううむ、やっと春らしい春になって来たのかな。いろいろ
とやることがあるような、ないような。読書は絲山秋子「離陸」。

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物語を紡ぐということ、上橋菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那」。

自らの運命にあらがいながら生きてきた2人の女性の物語。

獣の奏者 外伝 刹那獣の奏者 外伝 刹那
上橋 菜穂子

講談社 2010-09-04
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 あの名作「獣の奏者」の外伝である。主人公エリンの少女時代の1、
2巻、母となってからの3、4巻、外伝のメインとなる2つの物語「刹
那」と「秘め事」はその間に位置している。前者はエリンと夫イアルの
恋の物語、そこに2人の子ジェシの出産の場面をオーバーラップさせて
いる。後者はエリンの師エサルの若き日の恋の物語だ。物語を紡ぐとい
うことはこういうことなのだな、と改めて思った。きちんとした形には
なっていなくても、作者の心の中には、エリン、イアル、エサルの人生
がちゃんとある。外伝という形で日の目を見ることは、まさに心の中に
ある物語をより美しく整った形で紡いでいくことなのだろう。その幸せ
は当然作者にもあり、我々読者にもある。

 エリンとエサル、この2人の女性は、共に自らの運命にあらがいなが
ら生きている。永遠の幸福を捨て、刹那でも喜びがあればと思っている。
エリンがイアルという男とつき合うこと、さらには子を宿すことには、
本当に厳しい決断が必要だったはずだ。エサルが貴族という身ですべて
を投げうち、獣ノ医術師になることは、家族をはじめ周囲の人々の運命
を大きく変えてしまう危険があった。この物語が心にズシリと響くのは
作者に人間の「生」についての深い考察があるからに違いない。エリン
もエサルも心は鋼のように強い。しかし、その人生の中で多くのものを
捨て去って来た。捨てなければ手に入らない大切なものがあったのだ。
ピンと緊張感のある2編の後に、短い「初めての…」という掌編、その
やわらかく暖かい描写が心地よい。上橋菜穂子の文章は静謐で美しい。
そのことを改めて思った外伝でもあった。(No.94)

1・2巻の書評はこちら、3・4巻の書評はこちら

◎「獣の奏者 外伝 刹那」は2013年10月16日、講談社文庫で文庫化されました。
獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
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               ◯ ◯

2010.9.30 いよいよ9月も終わり。10月は読書関連の行事も多く、ま
さに読書の秋。中島さなえ「いちにち8ミリの。」を読み始めました。


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主人公エリンがなんと子供を持つ母に!「獣の奏者」続編もスゴい。

人間の愚かさを描きながらも、これはやはり希望の物語。





獣の奏者 (3)探求編獣の奏者 (3)探求編
上橋 菜穂子

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獣の奏者 (4)完結編獣の奏者 (4)完結編
上橋 菜穂子

講談社 2009-08-11
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 「獣の奏者」に続編があった、という驚きの他に、この続きにはさら
なる驚きがあった。それは、最初の2巻では少女だった主人公のエリン
が、なんと結婚し子供を持つ母となって登場するのだ。お~そうなのか、
あのエリンが母になったのか。これだけでも何だか感動してしまった。

 さて、物語は、そんな彼女が大公に呼ばれ、闘蛇の中でも特別な存在
である「牙」の大量死の原因究明を命じられるところから始まる。この
物語の舞台であるリョザ神王国でエリンは、唯一王獣を操れる者なのだ。
結果的に彼女は王国の存亡を左右する存在になってしまう。そこにエリ
ンの苦悩がある。夫や息子とのおだやかな暮らしを求めながらも、やは
り獣たちから離れることができないエリン。大量死の原因を探るうちに
彼女は、闘蛇のこと、王獣のこと、そして母の死にまつわる真実など歴
史の闇に葬り去られていた様々な事柄を知ることになるのだ。

 最終的に新たな決断を迫られるエリン。第4巻にあたる「完結編」の
ラストはまたまた壮絶な戦いになる。そして…。人間たちの愚かさを描
きながらも、これはやはり希望の物語。そこには未来へと託された力強
いメッセージがある。それにしても上橋菜穂子、スゴいなぁ。(No.78)

●外伝はこれっ!!!
獣の奏者 外伝 刹那
上橋 菜穂子
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◎「獣の奏者」3,4巻は2012年8月10日、講談社文庫で文庫化されました。
獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
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獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
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               ◯ ◯

2010.8.22 またまた暑さがぶり返して来た。これはもう確実に猛暑日
だなぁ。今日は図書館でちょっとおもしろい写真集を借りた。そのうち
ここでも紹介します。

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外伝も出る上橋菜穂子「獣の奏者」、この圧倒的なおもしろさよ!!

王獣と少女、言葉では思いをかわすことが叶わない2つの魂の物語。





獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
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獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子

講談社 2009-08-12
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 あの「獣の奏者」の外伝が出るらしい。昨年、1巻2巻に続いて3、
4巻が出たのにも驚いたが、さらに外伝とは。もちろん出たらすぐ読み
たいが、考えてみると前の4巻を紹介していない。ま、今年始めたブロ
グなので読んで書評をアップしていない傑作も多い。というわけで、ま
ずは1、2巻の紹介から。

 「獣の奏者」、なんとも心を揺さぶられるタイトルだ。この物語の主
人公のエリンは、闘蛇(とうだ)という戦闘用の獣を飼っている闘蛇衆
の村に住む少女だ。獣ノ医術師だった母の死と共に村を離れ、今では蜂
飼いの男と暮らしている。そこでエリンが出会ったのが王獣という生き
物。この王獣との出会いが、エリンのその後の運命を大きく変えていく
のだ。闘蛇を自由に操ることができた彼女の母、その娘であるエリンに
もその力があるのではないか、そしてその力で王獣さえも操れるのでは
ないか。小さな村で静かに暮らしていた少女が、いつの間にか王国の陰
謀の中に我が身を置いてしまう。その時、彼女は…。

 「守り人」シリーズで有名な上橋菜穂子が描きたかったのは、まさに
王獣と少女との物語、言葉では思いをかわすことが叶わない2つの魂の
触れ合いの物語だ。しかし、作者が意図する意図しないに関わらず、こ
の小説には普遍性がある。王獣を核兵器に置き換えればまさに現代の物
語だ。無理にそう読む必要はない。しかし、そう読むことができる大き
さがこの物語の魅力でもあるのだ。

 2章まではややスローテンポだが3章で主人公以外の登場人物が出て
きてから話が大きく動く。最後の数章は本当にすごい。未読の人は1、
2、3、4!さらには9月初めに出る外伝と一気読みできるからうらや
ましい。3、4巻の書評は明日にでもアップの予定。(No.77)

●外伝はこれっ!!!
獣の奏者 外伝 刹那
上橋 菜穂子
4062164396

               ◯ ◯

2010.8.21 「はやぶさの大冒険」を読み終えたので宮部みゆき「あん
じゅう」を手に取る。これ挿絵や挿画が南伸坊なんだ。いいなぁ、伸坊
好きだなぁ。

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